Wiseで海外口座開設は開設できる?
海外との取引が増えるフリーランスや個人事業主、グローバルに展開する中小企業にとって、外貨の受け取りや送金は悩みの種です。高い手数料、複雑な手続き、時間のかかる送金…。そんな課題を解決する選択肢として注目されているのが、Wise(旧 TransferWise)です。
Wiseを使えば、日本にいながらオンラインで、まるで海外に銀行口座を持っているかのように複数の通貨を管理し、有利なレートで送金できます。しかし、「本当に海外口座と同じなの?」「デメリットはないの?」といった疑問も多いはず。
この記事では、Wiseのマルチカレンシー口座、いわば“擬似海外口座”の仕組みから、メリット・デメリット、具体的な開設手順、活用術、さらには海外口座開設サポートサービスとの比較まで、あなたが「自分にとってWiseが最適か」を判断するために必要な情報を網羅的に解説します。
このページで分かること
- Wise で海外口座のように使える「マルチカレンシー口座」の仕組みと開設手順
- 海外口座開設サポートと Wise を費用・手間・機能面で徹底比較
- 日本ユーザーが見落としがちな 全通貨合計で100万円相当額の残高上限ほか制限&回避策
Wise 海外口座は本当に「口座」なの?まずは仕組みを理解しよう
Wiseのアカウントを「海外口座」と表現することがありますが、その仕組みを正しく理解しておくことが重要です。結論から言うと、Wiseは銀行ではありません。では、どのような仕組みで、なぜ海外口座のように利用できるのでしょうか。
Wise は銀行ではない
Wise(ワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社)は、日本では「資金移動業者」として財務局の登録(関東財務局長 第00040号)を受けている企業です。銀行ではないため、銀行法に基づく預金の受け入れや融資といった業務は行っていません。これが、Wiseと一般的な銀行との最も大きな違いです。
では、預けたお金の安全性はどうなのでしょうか?銀行の場合、預金保険制度によって一定額まで保護されますが、Wiseにはこの制度が適用されません。しかし、Wiseは顧客から預かった資金を、自社の運転資金とは完全に切り離して管理する「分別管理」を資金決済法に基づき行っています。さらに、万が一Wiseが破綻した場合でも、顧客資金が保護されるよう、履行保証金を法務局に供託するなどの資金保全スキームを構築しています。これにより、銀行とは異なる形ですが、顧客の資金は法に基づいて保護されています。
個人アカウントと法人アカウントの違い
Wiseには、個人の利用を目的とした「個人アカウント」と、法人や個人事業主の事業活動での利用を目的とした「法人アカウント(Wise Business)」の2種類があります。
個人アカウント
- 主な用途:個人の海外送金、海外旅行での支払い、留学費用の管理、海外在住家族への送金、個人的な外貨の受け取りなど。
- 特徴:開設・維持費無料。基本的な送金、外貨両替、マルチカレンシー口座機能、デビットカード発行(発行手数料1,200円)が可能。主要9通貨の現地口座情報取得は無料。
法人アカウント(Wise Business)
- 主な用途:海外クライアントからの売上受け取り、海外サプライヤーへの支払い、海外従業員への給与支払い、経費精算など、事業に関わる国際的な資金決済全般。
- 特徴:個人アカウントの機能に加え、API連携(Xero、QuickBooks、FreeAgent、Sage、Oracle Netsuite、QuickFileなどの会計ソフトやその他業務システム)、最大1,000件の一括支払い、複数ユーザーによるアクセス管理(管理者・閲覧者などの権限設定が可能)といったビジネス向けの機能が利用可能。主要9通貨の現地口座情報の初回取得時に3,000円の手数料がかかりますが、月額維持費などは基本的に無料です。法人確認のための追加書類が必要になります。
フリーランスや個人事業主の方でも、事業目的で利用する場合は法人アカウント(Wise Business)の開設が推奨されます。
Wise 海外口座のメリット
Wiseのマルチカレンシー口座が多くの人に選ばれる理由は、その利便性とコスト効率の高さにあります。特に、時間、コスト、多通貨管理の面で大きなメリットがあります。
主要9通貨の現地口座情報をオンラインで取得できる強み
Wise最大の魅力の一つが、日本にいながらにして、米ドル、英ポンド、ユーロ、豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、ハンガリーフォリント、ルーマニアレイ、シンガポールドルの主要9通貨*の現地銀行口座情報をオンラインで取得できる点です。(*対応通貨は変更される場合があります。常に公式サイトで最新情報をご確認ください。)
通常、海外の銀行口座を開設するには、現地への渡航や煩雑な書類手続き、厳しい審査が必要になることが多く、時間も費用もかかります。しかしWiseなら、オンラインでの簡単な手続きだけで、各通貨に対応した口座番号、ルーティングナンバー(米国)、IBAN(欧州)などを取得できます。
これにより、海外のクライアントや取引先は、まるで現地の国内送金と同じように、あなたへ支払いを行うことができます。受け取る側も、多くの場合、手数料無料で現地通貨のまま資金を受け取れるため、為替手数料や被仕向送金手数料を大幅に節約できます。これは、海外からの報酬受け取りが多いフリーランスや、越境EC事業者にとって非常に大きなメリットです。
ミッドマーケットレートと透明性の高い手数料で送金コストを抑えられる
海外送金で悩ましいのが、銀行などが設定する為替レートに含まれる「隠れコスト」と、複雑な手数料体系です。多くの金融機関は、Googleなどで表示される実際の為替レート(ミッドマーケットレート)に独自の為替手数料(スプレッド)を上乗せしたレートを適用し、さらに送金手数料や中継銀行手数料などを徴収します。
一方、Wiseは「ミッドマーケットレート」をそのまま両替に適用することを原則としています。手数料も、送金前に「固定手数料+変動手数料(送金額に対する割合)」という形で明確に提示され、非常に透明性が高いのが特徴です。現地口座情報を利用した受け取りやWise独自の送金ネットワークにより、中継銀行手数料も原則かかりません。
これにより、従来の銀行経由の送金と比較して、トータルの送金コストを大幅に削減できるケースが多くあります。特に、頻繁に海外送金を行う場合や、まとまった金額を送金する場合、その差は顕著になります。
デビットカード・API 連携で決済&経理を効率化できる
Wiseでは、アカウントに紐づいた「Wiseデビットカード」を発行できます(発行手数料1,200円)。このカードを使えば、アカウント内で保有している通貨を使って、海外でのショッピングやオンライン決済を、その通貨で支払う場合は手数料無料で行えます。もし支払い通貨を保有していなくても、Wiseアカウント内の別通貨からミッドマーケットレートで自動両替して支払われますが、その際にはWiseの低い両替手数料が適用されます。これにより、一般的なクレジットカードで発生する高額な海外利用手数料(通常1.6%~2.5%程度)を回避できる場合があります。海外ATMでの現地通貨引き出しも可能です(月2回まで、かつ合計30,000円相当額まで手数料無料。それ以降は所定の手数料が発生)。
さらに、法人アカウント(Wise Business)では、XeroやQuickBooksといった主要な会計ソフトとのAPI連携が可能です。取引履歴が自動で同期されるため、経理作業の大幅な効率化が期待できます。複数の支払い先へ一度に送金できる「一括支払い」機能(最大1,000件)や、経理担当者などにアクセス権限を付与できる「マルチユーザーアクセス」機能も、ビジネス運営の効率を高めます。
海外口座開設サポートとWise、合っているのはどっち?
海外に本格的な銀行口座を持ちたい場合、「海外口座開設サポート」を利用する選択肢もあります。これは専門業者に依頼し、現地の銀行口座開設を代行・サポートしてもらうサービスです。
海外口座開設サポートが向いているケース
- 特定の国に、預金保護のある正式な銀行口座を持ちたい(資産運用、不動産購入、長期滞在目的など)。
- 銀行が提供するローンや投資商品などの金融サービスを利用したい。
- 手続きの煩雑さや言語の壁を避け、専門家に任せたい(ただし高額なサポート費用が必要)。
- Wiseでは対応できない国や銀行での口座開設を希望する。
Wiseが向いているケース
- 低コストかつ迅速に、海外からの送金受け取りや支払いを行いたい。
- 複数の通貨を一つのアカウントで管理したい。
- 主な目的が資金の受け渡しであり、預金保護や銀行独自のサービスは必須ではない。
- オンラインで手続きを完結させたい。
- フリーランスの報酬受け取り、ECサイトの売上受領、旅行・留学時の資金管理など。
どちらが良いかは目的次第です。Wiseは「手軽に使える多通貨対応の資金移動・決済ツール」、海外口座開設サポートは「本格的な現地銀行口座を持つための手段」と考えると分かりやすいでしょう。
知らないと損!Wise の制限とリスクを正しく把握
Wiseは非常に便利なサービスですが、利用する上で知っておくべき制限やリスクも存在します。これらを理解しないまま利用すると、思わぬトラブルにつながる可能性もあります。
日本アカウントは全通貨合計で100万円相当額の残高上限 ─ 超えたらどうなる?
日本の居住者が開設したWiseアカウント(個人・法人問わず)には、アカウント全体の保有残高が全通貨合計で日本円換算100万円相当額までという上限が設けられています。これは日本の資金決済法に基づく規制によるものです。複数の通貨を保有している場合、その合計額が100万円相当額を超えないように管理する必要があります。
もし残高が上限を超えた場合、Wiseから通知があり、超過分を外部の銀行口座へ送金するなどして上限内に収めるよう求められます。指定期間内に対応しない場合、アカウントの機能が一部制限される(例:新規の入金受け付け停止など)可能性があります。Wiseには、指定した通貨の残高が一定額を超えた場合に、登録した銀行口座へ自動で振り込む「自動振込機能」もあるため、上限管理の手間を軽減するために活用すると良いでしょう。
この100万円という上限は、特に売上規模の大きいビジネスや、まとまった資金を管理したい場合には大きな制約となり得ます。Wiseをメインの事業用口座として使うのではなく、海外取引専用のサブ口座として位置づけ、国内銀行口座と連携してこまめに資金を移動させるといった工夫が必要になる場合があります。
送金上限と一部業種で使えないケース
Wiseには、1回あたりの送金上限額も設定されています。日本から海外への送金の場合、Wiseアカウントの残高から送金する場合は1回あたり100万円相当額までです。しかし、銀行振込やデビットカードで直接送金資金を入金して送金する場合は、1回あたり最大1億5,000万円相当額まで送金可能です。この上限額はワイズ・ペイメンツ・ジャパン株式会社が第一種資金移動業者の登録を受けたことにより可能になりました。送金回数自体に大きな制限はありませんが、高額な送金を行う場合は、資金の準備方法にご注意ください。
また、Wiseは利用規約で、サービスを利用できない業種や取引を定めています。例えば、暗号資産(仮想通貨)の交換・取引を行う事業者、ギャンブル関連、一部の金融サービス(例:無許可の送金業者)、規制対象の医薬品販売(例:オンライン薬局)などが該当します。自社の事業がこれらに該当しないか、事前に利用規約を確認が必要です。利用規約は変更されることがあるため、常に最新の情報を公式サイトで確認してください。
預金保護外・利息ゼロ・融資不可というデメリット
前述の通り、Wiseは銀行ではないため、預金保険制度の対象外です。顧客資金は分別管理と履行保証金により法に基づいて保全されていますが、銀行預金と同等の保護レベルではありません。
また、Wiseアカウントにお金を預けていても、銀行預金のような利息は一切つきません。資金を増やす目的ではなく、あくまで決済や送金のための「財布」のような位置づけと考えるべきです。
さらに、Wiseは融資業務を行っていないため、事業資金の借り入れなどはできません。運転資金の調達などが必要な場合は、別途銀行などの金融機関を利用する必要があります。
手数料・サービス内容・対応国変更リスクと今後の見通し
Wiseが提供するサービス内容、手数料、送金上限額、対応通貨・国などは、各国の法規制や金融情勢、Wise自身のビジネス判断によって将来的に変更される可能性があります。現在利用可能な機能が、将来も同じ条件で利用できるとは限りません。
特に国際的なサービスであるため、特定の国での規制強化などにより、サービス提供が停止されたり、内容が変更されたりするリスクはゼロではありません。利用にあたっては、常に最新の情報を公式サイトで確認し、変更リスクも念頭に置いておくことが賢明です。
失敗しない Wise 口座開設ステップガイド
Wiseのアカウント開設は、比較的簡単でスピーディーですが、いくつかのステップと本人確認が必要です。ここでは、スムーズに開設を進めるための流れとポイントを解説します。
登録〜本人確認までのフローを図解
Wiseのアカウント開設は、基本的に以下の流れで進みます。すべてオンラインで完結できます。
- ステップ1:公式サイトへアクセスし、メールアドレス登録
- Wiseの公式サイトを開き、「会員登録」ボタンをクリック。
- メールアドレスを入力し、パスワードを設定します。個人アカウントか法人アカウント(ビジネス)かを選択します。居住国(日本)を選択します。
- ステップ2:基本情報の入力
- 氏名、生年月日、住所、電話番号などの個人情報を入力します。
- 法人アカウントの場合は、法人名、法人番号、事業内容などの法人情報も入力します。
- ステップ3:本人確認(KYC)
- これが最も重要なステップです。Wiseは法律に基づき、厳格な本人確認(Know Your Customer)を実施しています。
- 指示に従い、本人確認書類のアップロードと、顔写真(セルフィー)の撮影を行います。マイナンバーカードを利用すると、比較的スムーズに手続きが進むことが多いです。
- 法人アカウントの場合は、代表者の本人確認に加え、登記事項証明書(発行から6ヶ月以内)などの法人確認書類の提出も求められます。
- ステップ4:Wiseによる審査・承認
- 提出された情報と書類に基づき、Wiseが審査を行います。通常、数営業日以内に結果がメールで通知されます。混雑状況や書類に不備があった場合は、さらに時間がかかることもあります。
- ステップ5:アカウント有効化
- 審査に通過すれば、アカウントが有効化され、Wiseの各種機能を利用できるようになります。
必要書類チェックリスト(個人・法人別)
本人確認に必要な書類は、アカウントの種類や状況によって若干異なりますが、一般的なケースは以下の通りです。日本の居住者の場合、マイナンバーの提出は必須です。
個人アカウントの場合
- マイナンバーカード(推奨:表面・裏面の両方をアップロード。これ1枚で本人確認とマイナンバー確認が完了)
- または、以下のいずれかの顔写真付き身分証明書:
- 日本の運転免許証
- 日本のパスポート(2020年2月3日以前に発行され、所持人記入欄に現住所が記載されているもの)
- 在留カード(外国籍の方)
- 上記でマイナンバーカード以外を選択した場合、追加で以下のいずれかのマイナンバー確認書類が必要:
- マイナンバー通知カード(緑色のもの。氏名・現住所・12桁のマイナンバーが記載されているもの。2020年5月以降発行の白色の通知カードは不可)
- 住民票の写し(マイナンバー記載、発行後6ヶ月以内)
- セルフィー(自分の顔写真)の撮影も必要です(認証コードを一緒に撮影する場合あり)。
法人アカウント(Wise Business)の場合
- 代表者の本人確認書類(上記、個人アカウントの場合と同様。代表者のマイナンバー確認も含む)
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書または現在事項全部証明書、発行後6ヶ月以内)
- 法人番号指定通知書 または 国税庁法人番号公表サイトの法人情報ページのスクリーンショット
- 事業内容を確認できる書類(例:会社のウェブサイトURL、事業計画書、製品・サービスに関する資料など)が求められる場合があります。
- 実質的支配者(株主構成がわかる書類など、議決権の25%超を直接または間接に保有する個人等)に関する情報の申告も必要です。
書類は鮮明で、有効期限内のものを準備しましょう。不備があると承認が遅れる原因になります。
初回入金と現地口座情報取得のコツ
アカウントが有効化されたら、まず少額を入金(チャージ)してみましょう。日本円で国内の銀行振込やデビットカードを使って入金できます。
次に、海外からの送金を受け取るために「現地口座情報」を取得します。
- Wiseにログインし、「管理」または「残高」メニューから「口座情報を取得する」または該当通貨を選択。
- 取得したい通貨(例:米ドル、ユーロなど、日本居住者向けには9通貨対応)を選びます。
- 画面の指示に従うと、その通貨に対応するあなた専用の口座番号やIBANなどが表示されます。
- これらの情報を、送金元のクライアントや取引先に正確に伝えましょう。
法人アカウントの場合、主要9通貨の現地口座情報を取得する際に、初回のみ3,000円の手数料がかかります。個人アカウントの場合は無料です。
デビットカード発行〜受取までのタイムライン
Wiseデビットカードは、アカウント開設後に追加で申し込むことができます。
- Wiseにログインし、「カード」メニューから申し込みます(発行手数料1,200円がかかります)。
- 申し込み後、カードが郵送されます。通常、日本国内であれば7~10日程度で届きますが、状況により変動します。速達オプション(有料)もあります。
- カードが届いたら、Wiseアプリまたはウェブサイトで有効化(アクティベーション)の手続きを行うと、利用可能になります。
海外渡航前に利用したい場合は、余裕を持って申し込むことをお勧めします。
シーン別活用術 ─ こんなとき Wise が便利!
Wiseのマルチカレンシー口座は、様々な国際的なお金のやり取りでその真価を発揮します。具体的な活用シーンを見ていきましょう。
フリーランス報酬を外貨で受け取る場合
海外クライアントから米ドルやユーロで報酬を受け取るフリーランスにとって、Wiseは非常に有効です。
- クライアントに、Wiseで取得した米ドル(ACHルーティングナンバーと口座番号)やユーロ(IBAN)の口座情報を伝えます。
- クライアントは、多くの場合、国内送金と同じ手数料感で、あなたに報酬を支払うことができます。
- あなたは、Wiseアカウントで米ドルやユーロをそのまま受け取れます。高額な被仕向送金手数料や不利な為替レートでの強制両替を避けられます。
- 受け取った外貨は、必要な時にWise内で有利なミッドマーケットレートで日本円に両替し、国内の銀行口座へ出金できます。もちろん、外貨のまま保有しておき、海外サービスへの支払いに利用することも可能です。
グローバル EC の売上を USD/EUR でスムーズに受領
Amazonなど海外のECプラットフォームで商品を販売している事業者も、Wiseを活用できます。
- プラットフォームの売上受取口座として、Wiseで取得した米ドルやユーロの現地口座情報を登録します。
- これにより、海外からの売上を現地通貨のまま、有利な条件で受け取ることが可能になります。プラットフォームが提供する両替サービスよりも手数料を抑えられるケースが多くあります。
- 受け取った売上金は、仕入れ代金の支払いや、日本円への両替に柔軟に活用できます。
旅行・留学で多通貨を安価に管理する方法
海外旅行者や留学生にとってもWiseは便利です。
- 事前にWiseアカウントに必要な通貨を入金・両替しておきます(例:旅行先のユーロや米ドル)。
- 現地では、Wiseデビットカードを使って、アカウント内の現地通貨で直接支払います。これにより、支払い通貨を保有していれば海外利用手数料はかかりません。一般的なクレジットカードの海外利用手数料(通常1.6%~2.5%程度)を節約できる可能性があります。
- 現金が必要な場合は、Wiseデビットカードで海外ATMから現地通貨を引き出せます(月2回まで、かつ合計30,000円相当額まで手数料無料。それ以降は所定の手数料が発生)。多額の現金を持ち歩くリスクを減らせます。
- 複数の国を周遊する場合でも、Wiseアカウント内で複数の通貨を有利なレートで両替・管理できるため、両替所を探す手間や手数料の心配が減ります。
国内銀行と組み合わせた最適資金フロー例
Wiseの全通貨合計で100万円相当額の残高上限を考慮すると、特にビジネス利用の場合は、Wiseを単独で使うのではなく、国内の銀行口座と組み合わせるのが現実的です。
- 入金: 海外からの売上や報酬は、Wiseの現地口座情報を使ってWiseアカウントで受け取る(手数料節約)。
- 残高管理: Wiseアカウントの残高が100万円上限に近づいたら、必要な分を国内のメインバンク(ネット銀行などが便利)へ日本円で出金する。自動振込機能の活用も検討。
- 支払い(海外): 海外サプライヤーへの支払いや海外サービスの利用料は、Wiseアカウントから直接送金するか、Wiseデビットカードで支払う(手数料節約)。
- 支払い(国内): 日本国内での経費支払いや給与振込などは、国内のメインバンクから行う。
このように、Wiseを「国際取引のゲートウェイ」として活用し、国内取引は従来の銀行口座で行うことで、それぞれのメリットを活かし、デメリットを補完する効率的な資金フローを構築できます。
まとめ
Wiseのマルチカレンシー口座は、従来の海外送金や外貨管理の方法を大きく変える可能性を秘めた便利なツールです。しかし、万能ではなく、向き不向きがあります。最後に、Wiseがあなたにとって最適な選択肢かどうかを判断するためのポイントを整理しましょう。
Wise が向くケース/向かないケースを整理
Wiseが向いている人・ビジネス
- 海外からの送金を低コストで受け取りたいフリーランス、個人事業主、中小企業。
- 海外への送金や支払いを頻繁に、安価に行いたい人・ビジネス。
- 複数の通貨を一つのアカウントで効率的に管理したい人(旅行者、留学生、多国籍ビジネスなど)。
- オンラインで手続きを完結させ、迅速に利用を開始したい人。
- 銀行レベルの預金保護や金融サービス(利息、融資)は必須ではない人。
Wiseがあまり向かない、または注意が必要な人・ビジネス
- アカウント残高が常に全通貨合計で100万円相当額を超える可能性が高いビジネス(頻繁な資金移動が必要)。
- 1回あたり100万円を超える高額な送金をWise残高から頻繁に行う必要がある場合(銀行振込等で資金供給する場合は1億5,000万円まで可能)。
- 預金保護や銀行が提供する付帯サービス(ローン、投資など)を重視する人。
- Wiseが利用を制限している業種に該当するビジネス。
- 特定の国に、Wiseでは取得できない本格的な銀行口座を持ちたい人。
迷ったら?海外口座開設サポート・専門家に相談しよう
Wiseが自分のニーズに完全に合致するか判断が難しい場合や、より本格的な海外銀行口座が必要な場合は、他の選択肢も検討しましょう。
- 海外口座開設サポート: 費用はかかりますが、特定の国の銀行口座開設を専門家がサポートしてくれます。信頼できる業者を慎重に選ぶことが重要です。
- 税理士などの専門家: 特にビジネスで利用する場合、海外取引に関わる税務処理は複雑になりがちです。Wiseの利用が税務にどう影響するか、顧問税理士などに相談することをお勧めします(Wise自体は税務アドバイスを提供しません)。
Wiseは、多くの人にとって国際的なお金のやり取りをより身近で、簡単、かつ安価にする強力なツールです。この記事で解説した仕組み、メリット、デメリット、注意点を踏まえ、ご自身の状況や目的に照らし合わせて、賢く活用するかどうかを判断してください。
by
合同会社PPS
「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル

- 合同会社PPS
- 吉岩勇紀代表
2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)の口座開設をサポートしている。
※2025年1月30日調査時点