三井住友銀行で海外口座は開設できる?
「海外赴任や留学が決まったけど、三井住友銀行の口座はどうすればいい?」
「海外でも使えるSMBCのサービスはある?」
「三井住友銀行で海外の口座を開設したいんだけど…」
そんな疑問をお持ちではないでしょうか。グローバル化が進む現代、海外とのお金のやり取りはますます身近になっています。しかし、日本の銀行で「海外口座」を新たに開設するのは、実は簡単なことではありません。
このページでは、「三井住友銀行(SMBC)で海外口座を開設できるのか?」という疑問に明確にお答えするとともに、海外に行かれる方や海外とのお金のやり取りが必要な方に向けて、SMBCグループが提供する様々なサービスとその活用方法を詳しく解説します。
このページで分かること
- 三井住友銀行(SMBC)の海外支店で個人が新規口座を開設できるか?(結論:原則できません)
- 海外赴任・留学時にSMBCの国内口座を維持する方法(SMBCグローバルサービス)
- SMBC信託銀行(プレスティア)で非居住者が口座を維持する方法とサービス内容
- 海外で便利でお得?プレスティアの「GLOBAL PASS」の使い方、手数料、注意点
- SMBCダイレクトやプレスティアを使った海外送金の方法、手数料、日数
- 海外ATMでSMBCのカード(キャッシュカード、デビット、GLOBAL PASS)を使う際の手数料と注意点
- SMBC本体とプレスティアの海外関連サービスの違いと比較
- 他の選択肢(他行のサービス、Wiseなど)との比較
【結論】三井住友銀行で「海外口座」の新規開設は原則できません
まず、多くの方が最初に疑問に思うであろう点について、結論からお伝えします。
原則として、日本にお住まいの個人の方が、三井住友銀行(SMBC)の海外支店で新たに個人の銀行口座を開設することはできません。
これは、SMBCに限らず、多くの日本の銀行に共通することです。海外の銀行口座を開設するには、その国の規制や銀行の方針により、現地での居住証明やビザなど、様々な条件を満たす必要があるためです。
なぜ?SMBCの海外支店で個人口座が開設できない理由
SMBCの海外支店は、主に法人顧客向けのサービスや、現地での金融業務を行う拠点として設置されています。個人のリテールバンキング(預金、送金、ローンなど)を主な目的としていないため、日本から個人が直接口座を開設することは想定されていないのです。
また、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策といった国際的な規制強化の流れもあり、非居住者による口座開設の審査は世界的に厳格化されています。これらの理由から、SMBCの海外支店で個人が新規に口座を開設することは、原則としてできない状況となっています。
「海外口座開設」の代わりにSMBCグループでできることとは?選択肢を整理
「それじゃあ、海外に行く場合、SMBCの口座はどうすればいいの?」と不安に思うかもしれません。ご安心ください。SMBCグループでは、「海外口座を新規開設する」以外の方法で、海外渡航者のニーズに応えるサービスを提供しています。
主な選択肢は以下の通りです。
- SMBC(三井住友銀行本体)の国内口座を維持する:「SMBCグローバルサービス」を利用する(対象者限定)
- SMBC信託銀行(プレスティア)の口座を活用する:非居住者でも口座を維持し、「GLOBAL PASS」などの国際サービスを利用する
- SMBC(三井住友銀行本体)の標準サービスを利用する:SMBCダイレクトでの海外送金や、SMBCデビットカードでの海外ATM利用
これらの選択肢について、次章から詳しく解説していきます。それぞれのサービス内容、利用条件、メリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合った方法を見つけましょう。
海外赴任・留学者は必見!SMBC国内口座を維持する「SMBCグローバルサービス」
海外への転勤や留学などで日本を離れるけれど、給与の受け取りや日本の家族への送金などでSMBCの口座を使い続けたい、という方も多いでしょう。そんな方のために用意されているのが「SMBCグローバルサービス」です。
これは、海外に居住することになる(=非居住者になる)方が、日本国内のSMBC口座を引き続き利用するためのサービスです。ただし、誰でも利用できるわけではなく、条件や手続きが必要です。
どんな人が使える?「SMBCグローバルサービス」の対象者と条件
SMBCグローバルサービスを利用できるのは、主に以下のような方々です。
- 利用できるケース:
- 日本の企業から派遣されて海外で勤務する方(いわゆる海外駐在員)
- 海外の学校へ留学する方
- 上記の方に帯同するご家族
- 利用できないケース:
- 海外で現地採用された方
- 海外に永住する方
ワーキングホリデービザでの渡航者の扱いについては、SMBCの公式情報では明確にされておらず、「要確認」となります。状況によっては対象外となる可能性も考えられますので、事前にSMBCに確認するか、後述するSMBC信託銀行(プレスティア)など他の選択肢を検討することをおすすめします。
出国前に必須!申込方法と必要書類、手続きの注意点
SMBCグローバルサービスを利用するには、必ず出国前に手続きを完了させる必要があります。出国後の申し込みはできません。
- 申込期限と方法:
- 原則として、出国予定日の3週間前までに申し込む必要があります。
- 申し込みは郵送または店頭窓口で行います。ただし、総合口座、投資信託、住宅ローン、クレジット一体型カード、デビットカードなど特定の契約がある場合は、郵送での申し込みができず、店頭での手続きが必要です。この場合も、出国3週間前までの来店が必要です。
- 必要な書類:
- SMBCグローバルサービス申込書
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど ※顔写真の有無等でルールあり)
- 個人番号(マイナンバー)確認書類
- 海外勤務や留学を証明する書類(海外勤務証明書、留学先の合格通知書など)
- 居住地国等を届け出る書類(海外住所が決まっていれば公的証明が必要な場合あり)
- その他、FATCA/CRS関連書類など(渡航先等による)
必要書類は状況によって細かく異なります。特に本人確認書類の組み合わせやマイナンバー関連書類は早めに確認し、余裕をもって準備を始めましょう。
サービス内容と利用できる機能(SMBCダイレクト経由)
SMBCグローバルサービスを申し込むと、海外からでもインターネットバンキング「SMBCダイレクト」を通じて、以下の機能を利用できます。
- 残高照会、入出金明細照会
- 日本国内への振込・振替
- 海外への送金(外国送金サービス)
- 登録したメールアドレスへの各種お知らせ受信
- 海外の住所への取引レポート郵送(希望者のみ)
- 外貨預金取引、投資信託の照会・売買(一部制限あり)、ローンの一部返済なども可能です。
ただし、非居住者となることでいくつかの重要な制限が生じます。例えば、SMBCダイレクト上での海外住所への変更手続きはできません。また、海外からのSMBCダイレクト利用は推奨されておらず、通信環境によっては不安定になったり利用できなくなったりする可能性があり、動作保証はありません。このサービスは、あくまで既存口座を限定的に維持・管理するためのものと理解しておく必要があります。
月額利用料と知っておくべき留意点
SMBCグローバルサービスの利用には、いくつか注意点があります。
- 手数料:月額220円(税込)の利用料がかかります(申込月と翌月は無料)。※料金は変更される場合があります。
- 非居住者円預金への変更:このサービスを契約すると、あなたの銀行におけるステータスが「非居住者」となり、預金は「非居住者円預金」という扱いに変わります。これにより、預金利息に対する税金の計算方法(地方税がかからなくなるなど)が変わります。
- 利用できなくなるサービス:非居住者になると、NISA口座は原則廃止(SMBCは継続非対応)、iDeCoへの新規拠出ができなくなる(運用指図者として継続は可能)など、一部利用できなくなるサービスがあります。新規のローン申し込みなども制限される可能性があります。
SMBCグローバルサービスは、手続きの期限が厳格である点や、月額手数料、利用できる人が限られている点、サービス利用上の制限などを理解した上で、利用を検討しましょう。
より国際的に使うなら?SMBC信託銀行(プレスティア)の活用法
SMBCグローバルサービスの対象にならない方や、もっと本格的に海外でお金の管理をしたい方には、SMBCグループの「SMBC信託銀行(プレスティア)」が選択肢となります。
プレスティアは、一般的な銀行サービスに加えて、特に国際的な金融サービスに強みを持つ銀行です。
プレスティアとは?SMBC本体との違いと特徴
プレスティアは、もともとシティバンク銀行の日本の個人向け部門でした。そのため、外貨預金や海外送金、海外でのカード利用など、グローバルなニーズに対応するサービスが充実しています。
SMBC(三井住友銀行本体)との主な違いは以下の点です。
- ターゲット顧客層:SMBC本体が幅広い層を対象とするのに対し、プレスティアは富裕層や国際的な金融ニーズを持つ顧客に重点を置いています。
- サービス内容:プレスティアは多通貨預金や、後述する「GLOBAL PASS」など、海外利用に特化したサービスを提供しています。
- 手数料体系:口座維持手数料がかかる場合がある一方、一定の条件を満たすと各種手数料が優遇されるプログラムがあります。
SMBCグループではありますが、SMBC本体とは独立した銀行であり、サービス内容や手続きが異なる点に注意が必要です。
海外転居後もプレスティア口座を維持する方法と手続き
プレスティアの大きな特徴の一つが、海外へ転居して非居住者になった後でも、所定の手続きを行えば口座を維持し、引き続き利用できる点です(※新規口座開設は原則として日本居住者のみ)。これは、SMBCグローバルサービスのような対象者の制限がありません。
- 必要な届け出:海外へ住所が変わる場合、「住所変更届 兼 居住性変更に関する届出書」を提出する必要があります。
- 必要な書類:海外の住所を証明する公的な書類(例:在外公館が発行する在留証明書、現地の運転免許証や公共料金の請求書など)の提出が求められます。投資信託口座を持っているかどうかなどで、必要な書類が変わる場合があります。手続きは基本的に郵送で行います。
非居住者が利用できるサービスと制限事項
プレスティアの口座を非居住者として維持する場合、多くのサービスを引き続き利用できますが、一部重要な制限もあります。
- プレスティアオンライン(インターネットバンキング)でできること:
- 残高照会
- 外貨預金の売買
- 事前に登録済みの送金先への海外送金 など
- 利用できなくなる主なサービス:
- 海外からプレスティアオンラインで新しい送金先を登録すること(郵送等での手続きが必要)
- 投資信託の新規購入・スイッチングなど、一部投資商品の取引
- 日本国内向けのローンなど
特に、海外からオンラインで新しい送金先を追加できない点は、現地で新たな送金ニーズが発生した場合に不便を感じる可能性があります。
口座維持手数料はかかる?無料になる条件とは
プレスティアでは、原則として月額2,200円(税込)の口座維持手数料がかかります。しかし、以下のいずれかの条件を満たせば無料になります。(※条件は変更される場合があります)
- 前月の月間平均総取引残高が50万円相当額以上
- 前月の月間平均総取引残高の外貨部分が20万円相当額以上
- 特定のローン商品の利用がある場合
- 提携クレジットカードの保有や外貨積立サービスの利用など、他にも複数の免除条件があります。
- 口座開設後の最初の2ヶ月間は無条件で無料です。
ご自身の状況で無料条件を満たせるか、事前に確認しましょう。
プレスティア利用者の声:メリットとデメリットまとめ
プレスティアのサービスには、利用者から様々な声が寄せられています。
- メリット:
- 多通貨を一つの口座で管理できる利便性。
- 後述する「GLOBAL PASS」と連携し、海外での外貨利用がお得になる場合がある。
- 一定の残高があれば、海外からの送金受け取り手数料などが無料になる優遇特典がある。
- 非居住者でも口座を維持できる。
- デメリット:
- 口座維持手数料がかかる場合があり、無料条件を満たせない場合はコスト負担となる。
- 標準的な海外送金手数料は、他の選択肢(例:Wise)と比較して割高になる場合がある。
- 海外からの問い合わせ手段が限定的(基本的に有料の国際電話のみで、一般的なメール問い合わせ窓口がない)。コールセンターに繋がりにくいとの声もある。
- 住所変更などの手続きが基本的に郵送のみで、オンラインで完結しない。
- 非居住者は海外からオンラインで新規送金先を登録できない。
- インターネットバンキングの画面が使いにくいと感じる人もいる。
プレスティアは、多通貨機能や非居住者対応など独自の強みを持つ一方で、特に海外からの利便性(コミュニケーション手段、オンライン手続き)には課題があるようです。コストや利便性を重視する場合は、これらの点を許容できるか慎重に検討する必要があります。
海外での支払い・現金引き出しに強い味方!プレスティア「GLOBAL PASS」
プレスティアを利用する大きなメリットの一つが、多機能デビットカード「GLOBAL PASS(グローバルパス)」です。海外旅行や出張、留学などで海外での支払いが多い方にとって、非常に便利なカードとなり得ます。
GLOBAL PASSとは?多通貨Visaデビット一体型カードの基本機能
GLOBAL PASSは、以下の機能が1枚になったカードです。
- キャッシュカード機能:国内外のATMで現金を引き出せます。
- Visaデビット機能:世界中のVisa加盟店で、口座残高から即時に支払いができるデビットカードです。
- 多通貨対応:日本円を含む18通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル、スイスフラン、香港ドル、シンガポールドル、タイバーツ、南アランド、メキシコペソ、トルコリラ、ノルウェークローネ、スウェーデンクローネ、デンマーククローネ、中国元 ※オフショア の17外貨+日本円)に対応。口座内の該当通貨残高から直接支払いやATM引き出しができます。
- タッチ決済:Visaのタッチ決済に対応。国内ではiDとしても利用可能です。
海外ショッピングでの使い方:手数料を抑えるコツ
GLOBAL PASSを海外のお店で使う場合、支払い方法によって手数料が大きく変わります。
- 【お得】外貨残高からの支払い(手数料無料): 例えばアメリカで買い物をする際に、プレスティア口座に米ドル残高があれば、その米ドル残高から直接支払われます。この場合、プレスティアに支払う海外利用に関する手数料(海外事務手数料など)はかかりません。これがGLOBAL PASSの最大のメリットです。
- 【注意】円普通預金からの支払い・外貨残高不足時(海外事務手数料3.0%): 支払いたい通貨の外貨残高がない、または足りない場合、円普通預金残高から自動的に支払われます(「外貨フルバック」機能、設定が必要)。この場合、Visaが定める為替レートに3.0%の海外事務手数料が上乗せされたレートで円に換算されて引き落とされます。外貨をお得に使いたい場合は、あらかじめ必要な外貨を口座に用意しておくことが重要です。
- DCC(自国通貨建て決済)の罠に注意: 海外のお店でカード支払いをする際、「現地通貨建て」か「日本円建て」かを選べる場合があります(DCC)。ここで「日本円建て」を選ぶと、お店が独自に設定した割高な為替レートで計算されることが多く、損をしてしまう可能性があります。GLOBAL PASSに限らず、海外でカードを使う際は、必ず「現地通貨建て」で決済するようにしましょう。
海外ATMでの現地通貨引き出し:手数料を理解する
GLOBAL PASSを使って、海外のATMで現地の通貨を引き出すことも可能です。手数料体系はショッピング利用時と似ています。
- プレスティア側の手数料は無料: GLOBAL PASSを使って海外ATMで現金を引き出す際、プレスティアが徴収するATM利用手数料は無料です。
- 【注意】円普通預金からの引き出し・外貨残高不足時(海外事務手数料3.0%): 引き出したい通貨の外貨残高がない、または足りない場合、円普通預金残高から引き出されます(「外貨フルバック」機能)。この場合もショッピングと同様に、Visaが定める為替レートに3.0%の海外事務手数料が上乗せされたレートで円換算されます。
- 【重要】ATM設置機関(オーナー)の手数料がかかる可能性と償還制度: プレスティア側の手数料は無料でも、ATMを設置している現地の銀行や事業者が独自に利用手数料(ATMオーナー手数料)を徴収する場合があります。 ただし、GLOBAL PASSにはこのATMオーナー手数料の償還(払い戻し)制度があります。引き出し元の口座(円普通預金または該当外貨普通預金)に引き出し時点で5,000円(または相当額)以上の残高があれば、月100回まで、手続き不要で自動的に手数料が償還されます。 さらに、特定の17か国・地域にあるシティバンク(Citi)のATMを利用する場合は、このATMオーナー手数料自体が無料になります。
特典(キャッシュバック/マイル)と発行対象者
GLOBAL PASSには、利用額に応じて特典がもらえるプログラムがあります。
- 特典:以下のいずれかを選択できます。
- キャッシュバック:毎月の利用額に応じてキャッシュバック(還元率はステータスにより変動)
- ANAマイル:毎月の利用額に応じてANAマイルが貯まる
- 発行対象者:プレスティアに円普通預金口座とプレスティア マルチマネー口座(外貨預金口座)を持っている18歳以上の個人の方が申し込めます。家族カード(16歳以上、高校生可)も発行可能です。
GLOBAL PASS 海外利用時の手数料シナリオ別まとめ
利用シーン | 支払い/引き出し元 | プレスティア手数料 | 為替関連コスト | ATMオーナー手数料 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
海外ショッピング | 外貨残高 | 無料 | なし | なし | 最も有利。DCC(自国通貨建て決済)に注意。 |
海外ショッピング | 円残高/外貨不足 | 無料 | 海外事務手数料 3.0% (Visaレートに上乗せ) | なし | 事前の外貨準備が推奨される。DCCに注意。 |
海外ATM 現地通貨引き出し | 外貨残高 | 無料 | なし | 発生の可能性あり | ※1 ATMオーナー手数料は償還制度あり。※2 Citi ATMでは無料の場合あり。 |
海外ATM 現地通貨引き出し | 円残高/外貨不足 | 無料 | 海外事務手数料 3.0% (Visaレートに上乗せ) | 発生の可能性あり | ※1 ATMオーナー手数料は償還制度あり。※2 Citi ATMでは無料の場合あり。 |
※1: ATMオーナー手数料償還条件:引き出し元口座(円普通預金または該当外貨普通預金)に5,000円(相当額)以上の残高がある場合、月100回まで自動償還。
※2: 特定17か国・地域のCiti ATMではオーナー手数料が無料。
上記は一般的なケースであり、詳細はプレスティアの公式サイトでご確認ください。DCCを利用した場合のレートは上記と異なります。
GLOBAL PASSは、事前に外貨を用意し、ATMの償還条件を理解して使えば海外での手数料を抑えられる強力なツールですが、円からの利用時には3%の手数料がかかる点を認識しておく必要があります。
SMBCの標準サービスで海外とやり取りするには?(送金・ATM利用)
プレスティアやSMBCグローバルサービスを利用しない場合でも、SMBC(三井住友銀行本体)の標準的なサービスを使って海外とのお金のやり取りを行うことは可能です。主に「海外送金」と「海外ATMでのカード利用」が挙げられます。
SMBCダイレクト・店頭での海外送金:方法と手数料
日本から海外へお金を送る(仕向送金)、または海外から日本でお金を受け取る(被仕向送金)場合の手続きと手数料を見ていきましょう。(※手数料は変更される場合があります)
- 手続き方法:
- SMBCダイレクト(インターネットバンキング):パソコンやスマートフォンから手続きできます。事前に送金先の情報を登録しておく必要があります。
- 店頭窓口:銀行の窓口で手続きします。SMBCダイレクトよりも手数料が高くなる傾向があります。
- 送金手数料:
- SMBCダイレクトがお得:例えば、SMBCダイレクトから海外の他の銀行へ送金する場合の手数料は3,500円ですが、店頭だと7,500円かかります(2025年4月時点)。
- リフティングチャージ:送金する通貨と受け取る口座の通貨が同じ場合(例:日本の円口座から海外の円口座へ送金)でも、「円為替取扱手数料」または「外貨取扱手数料」として、リフティングチャージと呼ばれる手数料がかかることがあります(送金額の0.05%、最低2,500円など)。
- 中継銀行手数料:送金する銀行と受け取る銀行の間で、中継の銀行を経由する場合があり、その銀行が手数料を徴収することがあります。送金時に送金人負担か受取人負担かを選べる場合があります。
- 適用される為替レート(TTS/TTB)と為替スプレッド: 円と外貨を交換して送金する場合、銀行が独自に定める為替レート(TTS/TTB)が適用され、これには銀行の手数料(為替スプレッド)が含まれています。SMBCダイレクトを利用すると、この為替スプレッドが店頭取引より優遇(例:米ドルで50%割引)される場合があります。
- 必要な情報: 海外送金を行うには、事前にマイナンバー(個人番号)を銀行に届け出ておく必要があります。また、送金先の銀行名、SWIFTコード(またはBICコード)、口座番号、受取人の氏名・住所などに加えて、IBANコード(ヨーロッパなどで使用)などが必要になる場合があります。
SMBCの海外送金は、特にSMBCダイレクトを利用すれば手続き自体は可能ですが、複数の手数料(送金手数料、リフティングチャージ、中継銀行手数料、為替スプレッド)がかかるため、トータルコストを把握し、他のサービスと比較検討することが重要です。
海外ATMでSMBCのカードを使う:デビット vs キャッシュカード
海外のATMで、SMBCのカードを使って現地通貨を引き出すことも可能です。主に「SMBCデビット/Oliveフレキシブルペイ(デビットモード)」と「SMBCキャッシュカード(普通預金カード)」が利用できます。(※手数料は変更される場合があります)
- SMBCデビット/Oliveデビットモード利用時の手数料:
VisaやMastercardのマークが付いたSMBCデビットカードや、Oliveフレキシブルペイのデビットモードを使えば、世界中のVisa/Mastercardネットワークに対応したATMで現地通貨を引き出せます。
ただし、以下の手数料がかかる可能性があります。
- SMBCの海外ATM利用手数料:SMBCの公式サイトでは無料とされていますが、FAQなど一部情報では110円かかるとの記載もあり、情報に矛盾が見られます。利用前に最新の公式情報を確認することをおすすめします。
- 海外事務処理手数料:国際ブランド(Visaなど)が定める為替レートに、SMBC所定の料率(例:Oliveの場合3.63%)が上乗せされます。
- ATM設置機関(オーナー)の手数料:現地のATM設置者が独自に徴収する手数料がかかる場合があります。
- キャッシュカード(普通預金)利用時の手数料と注意点(推奨されない理由): 「PLUS」などの国際ATMネットワークマークが付いたSMBCのキャッシュカードでも、対応する海外ATMで現地通貨を引き出せる場合があります。 しかし、こちらもSMBCのATM利用手数料(110円)、国際ブランドが定めるレートに銀行所定の料率(Visaの場合3.63%)を加えた為替コスト、ATMオーナー手数料がかかります。 一般的に、キャッシュカードでの海外ATM利用は、デビットカードやクレジットカードのキャッシングに比べて為替レートが悪かったり、利用できるATMが限られたりする可能性があるため、あまり推奨されていません。緊急時以外は、デビットカードやクレジットカードを利用する方が良いでしょう。
- クレジットカードの海外キャッシングとの違い(利息が発生): クレジットカードには、海外ATMで現地通貨を「借り入れ」できる海外キャッシング機能が付いているものがあります。これは借金と同じ扱いで、利用日から返済日までの期間に応じて利息(例:年利18.0%程度)が発生します。ATM利用手数料も別途かかる場合があります。Oliveフレキシブルペイでは海外キャッシング機能は利用できません。
主な海外関連取引の手数料まとめ(SMBC vs プレスティア)
サービス/カード | 取引種類 | SMBC/プレスティア手数料 (SMBCダイレクト等) | 為替関連コスト (例: USD/Visa) | ATMオーナー手数料/中継銀行手数料 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
SMBCダイレクト | 海外送金 (他行宛) | 3,500円 | 為替スプレッド (店頭約1円/USD、ダイレクト割引後約0.5円/USD) | 発生の可能性あり (中継銀行) | リフティングチャージ別途発生の場合あり |
プレスティア (オンライン) | 海外送金 (標準) | 3,500円 | 為替スプレッド (約1円/USD片道) | 受取人負担のみ (オンラインの場合) | ゴールド/プレミアム等は手数料優遇あり |
プレスティア GLOBAL PASS | 海外ショッピング | 無料 | 3.0% (円から) / 無料 (外貨から) | なし | DCC(自国通貨建て決済)に注意 |
プレスティア GLOBAL PASS | 海外ATM 現地通貨引出 | 無料 | 3.0% (円から) / 無料 (外貨から) | 発生の可能性あり (ATMオーナー) | ※1 ATMオーナー手数料は償還制度あり。※2 Citi ATM無料特典あり。 |
Olive (デビットモード) | 海外ショッピング | 無料 | 3.63% (海外事務処理手数料) | なし | |
Olive (デビットモード) | 海外ATM 現地通貨引出 | 110円 (※3) | 3.63% (海外事務処理手数料) | 発生の可能性あり (ATMオーナー) | |
SMBCキャッシュカード | 海外ATM 現地通貨引出 | 110円 | 国際ブランドレート + 3.63% (Visa) | 発生の可能性あり (ATMオーナー) | 一般的にデビット/クレジットカードより不利とされる |
クレジットカード (一般的) | 海外キャッシング | カード会社所定の手数料 | なし (ただし借入利息が発生) | 発生の可能性あり (ATMオーナー) | 利息(年利18%程度)に注意、Oliveは利用不可 |
※1: ATMオーナー手数料償還条件:引き出し元口座残高5千円相当額以上、月100回まで。
※2: 特定17か国・地域のCiti ATMではオーナー手数料無料。
※3: OliveのATM手数料110円については情報に矛盾あり(無料の可能性も)。要確認。
上記の手数料やレートはあくまで目安であり、通貨や利用条件等で変動します。最新情報は各公式サイトで要確認。
SMBCの標準サービスは基本的な海外利用に対応しますが、手数料体系はやや複雑です。特に海外ATM利用は複数のコスト要因が絡むため、プレスティアのGLOBAL PASS(外貨残高利用時)や、後述するフィンテックサービスと比較すると、コスト面で見劣りする可能性があります。
比較検討:SMBC vs 他の選択肢(他行・フィンテック)
ここまでSMBCグループの海外関連サービスを見てきましたが、他の選択肢と比較してどうなのでしょうか?他のメガバンクや、Wise(旧TransferWise)のような金融テクノロジー(フィンテック)企業のサービスと比較してみましょう。
他のメガバンクの海外関連サービスとの違い(例:MUFGの海外口座紹介)
他のメガバンクも、海外関連サービスを提供しています。例えば、三菱UFJ銀行(MUFG)には、渡航前に提携先の海外銀行(現在はタイのアユタヤ銀行や米国のU.S. Bankなど)の口座開設をサポートする「海外口座ご紹介サービス」があります。これは、日本にいながら現地の口座を準備できる点で、SMBCにはない特徴的なサービスです。(※提携先やサービス内容は変更される可能性があるため、利用時は最新情報をご確認ください)
各メガバンクは、非居住者向けの口座維持サービスや海外送金サービスを提供していますが、手数料体系や利用条件、オンラインサービスの機能などは異なります。もし他のメガバンクにも口座をお持ちであれば、そちらのサービス内容も比較検討してみると良いでしょう。
Wiseなどのフィンテックサービスとの比較(手数料・為替レート・利便性)
近年、Wise(ワイズ)のようなフィンテック企業が提供する国際送金・決済サービスが注目されています。これらのサービスは、従来の銀行と比較して、特にコスト面や利便性でメリットがある場合があります。
- 海外送金コストの比較: 銀行の海外送金では、送金手数料、為替スプレッド、中継銀行手数料など複数のコストがかかります。一方、Wiseのようなサービスは、手数料体系がシンプルで分かりやすく、為替レートも市場の仲値(ミッドマーケットレート)に近い、有利なレートを適用することが多いため、トータルの送金コストを抑えられる傾向があります。
- 海外カード利用コストの比較: Wiseなどが提供するデビットカードは、多くの通貨(40種類以上など)をアカウント内で保有でき、対応する外貨残高から支払えば手数料が無料または低額で済む場合があります。円からの支払い時やATM利用時の手数料も、銀行のカードと比較して低めに設定されていることが多いです(月間の無料ATM利用枠などもあり)。
- 機能・サービスの比較: 銀行は総合的な金融サービスを提供する一方、Wiseのようなフィンテックサービスは、国際送金や多通貨アカウント、デビットカードといった海外利用に特化した機能を提供しています。銀行のような手厚い対面サポートは期待できませんが、オンラインやアプリでの手続きは非常にスムーズで、スピーディーな送金が可能な場合が多いです。
SMBC vs Wise:海外送金・カード利用コスト比較(目安)
サービス/カード | 取引種類 | 手数料 (目安) | 為替レート (目安) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
SMBCダイレクト | 海外送金 | 3,500円 + 中継銀行手数料等 | 銀行TTS/TTBレート (割引後スプレッドあり) | 銀行の安心感、既存口座から可能 |
プレスティア (オンライン) | 海外送金 (標準) | 3,500円 | 銀行TTS/TTBレート (スプレッドあり) | プレスティア口座保有者向け、ステータスにより優遇あり |
プレスティア GLOBAL PASS | 海外ショッピング/ATM引出 | 無料 (外貨残高) / 3.0% (円残高) + ATMオーナー手数料 | Visaレート / Visaレート+3.0% | 17外貨対応、プレスティア口座と連携、ATM手数料償還制度あり |
Wise | 海外送金 | 送金額・通貨ペアに応じた低い変動手数料 | ミッドマーケットレート (スプレッドほぼなし) | 手数料が安く透明性が高い、送金が速い場合が多い |
Wiseデビットカード | 海外ショッピング/ATM引出 | 無料 (対応通貨残高) / 低い両替手数料 + ATM手数料(月無料枠超過後) | ミッドマーケットレート / 低い両替手数料あり | 40以上の通貨に対応、口座維持手数料なし、アプリで管理が容易 |
上記は一般的な比較であり、手数料やレートは常に変動します。最新情報は各社公式サイトで要確認。
どのサービスが最適かは、利用頻度、金額、通貨、求めるスピードやサポート体制によって異なります。コストを最優先するならWiseのようなフィンテックサービスが有利な場合が多いですが、銀行の信頼性や既存口座との連携を重視するならSMBCグループのサービスも選択肢となります。
まとめ:あなたの状況に最適なSMBCの海外関連サービスは?
ここまで、SMBCグループの様々な海外関連サービスと、他の選択肢について解説してきました。最後に、どのような方にどのサービスがおすすめか、そして選択する上での注意点をまとめます。
SMBCグローバルサービスがおすすめな人
- 日本の企業からの派遣で一時的に海外赴任する方
- 海外の学校へ留学する方(ビザの種類など要確認)
- 上記に帯同するご家族
- 主に日本の口座での給与受け取りや、日本への送金が目的の方
- 出国前に余裕をもって手続きでき、月額手数料やサービス制限(オンライン住所変更不可、アクセス保証なし等)を許容できる方
プレスティア(+GLOBAL PASS)がおすすめな人
- SMBCグローバルサービスの対象外だが、非居住者になってもSMBCグループの口座を維持したい方
- 複数の外貨を一つの口座で管理したい方
- 海外でのカード決済やATM利用が多く、GLOBAL PASSの外貨決済メリットやATM手数料償還制度を活かしたい方
- 口座維持手数料の無料条件を満たせる、または手数料を払ってもメリットがあると感じる方
- 海外からのコミュニケーション手段(有料電話中心)や手続きの制約(郵送、新規送金先オンライン登録不可)を許容できる方
標準SMBCのサービスで十分な人
- 海外渡航は一時的で、海外での金融取引はあまり頻繁ではない方
- たまに日本から海外へ送金する程度の方(SMBCダイレクト利用)
- 海外ATM利用時の手数料(海外事務処理手数料など)を許容できる方
- Wiseなどの別サービスを併用する方
他の銀行やサービスを検討すべき人
- 海外送金の頻度が多く、少しでもコストを抑えたい方 → Wiseなどのフィンテックサービス
- 非常に多くの通貨を扱いたい、アプリでの管理を重視したい方 → Wiseなどのフィンテックサービス
- 渡航前に現地の銀行口座を開設しておきたい方 → MUFGの海外口座ご紹介サービスなど(該当する国・銀行があれば、最新情報を確認)
- プレスティアの口座維持手数料やサービス制限(サポート体制、オンライン機能)がネックになる方 → 他行の非居住者向けサービスやフィンテックサービス
最終チェック海外口座の開設・利用で
失敗しないための重要ポイント
どの方法を選ぶにしても、海外口座との付き合いで失敗しないために、以下の点は必ず確認・理解しておきましょう。
- 本当に必要か?: まず、本当に海外口座が必要なのか、目的を明確にしましょう。
- 口座維持コスト: 開設手数料だけでなく、月額の口座維持手数料や、最低預金残高の条件などを確認しましょう。
- 送金コスト: 日本との間で送金する場合の手数料(送金銀行、中継銀行、受取銀行)や、為替レートに含まれるコストを把握しましょう。
- 利便性と制限: ATMの場所や手数料、インターネットバンキングの使いやすさ、日本語サポートの有無、利用できる機能と制限などを確認しましょう。
- 安全性: 銀行の信頼性や、預金保護の仕組み(日本の預金保険は対象外)について理解しておきましょう。フィンテックサービスの場合は、資金の保全方法などを確認しましょう。
- 最新情報を必ず確認する: 金融機関のサービス内容、手数料、条件は頻繁に変更されます。この記事の情報も含め、必ず公式サイトで最新かつ詳細な情報を確認してください。
- セキュリティ対策: インターネットバンキングやカードを利用する際は、パスワード管理やフィッシング詐欺対策など、セキュリティ意識を高く持ちましょう。
海外口座の開設は、ゴールではなくスタートです。ご自身の状況や目的に合った方法を選び、必要な手続きや注意点をしっかり理解した上で、計画的に準備を進めることが大切です。
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合同会社PPS
「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル

- 合同会社PPS
- 吉岩勇紀代表
2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)の口座開設をサポートしている。
※2025年1月30日調査時点