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ソニー銀行で海外口座は開設できる?

近年、海外投資や資産分散、将来の移住準備といった目的で、海外の銀行口座開設に関心を持つ方が増えています。特にソニー銀行のユーザーにとっては、「ソニー銀行で海外口座を開設できるのか?」は気になる点でしょう。

このページでは、そんな疑問に明確にお答えするとともに、「日本にいながら海外の銀行口座を持ちたい」と考える方が本当に知りたい情報、そして注意すべき点を徹底的に解説します


このページで分かること

  • 日本にいながら海外の銀行口座を開設することは現実的に可能なのか?
  • ソニー銀行では、日本居住者向けの海外口座開設サービスを提供しているか?
  • 日本居住者が海外口座を持つことのメリット、そしてそれ以上に重要なデメリット・リスク

「日本にいながら海外口座開設」は可能?

まず知っておきたい、日本居住者の海外口座開設の「現実的なハードル」

魅力的に見える海外口座ですが、日本に住みながら開設するには、以下のような現実的な課題があります。

  • 本人確認の壁(KYC):多くの国の金融機関では、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与対策のため、厳格な本人確認(Know Your Customer, KYC)が義務付けられています。これには、現地での対面確認や、その国での居住証明、納税者番号の提示などが求められることが多く、一部のオンライン完結サービスを除き、日本からの手続きだけでは完結しないケースが依然として多いのが実情です。
  • 非居住者へのサービス制限:現地の居住者でない(非居住者)個人に対しては、口座開設を受け付けない、あるいは開設できてもサービス内容(利用可能な取引、預金保険の適用など)が大幅に制限される銀行が少なくありません。これは、銀行側にとってコンプライアンスコストやリスクが増大するためです。
  • 情報収集の難しさ:どの国のどの銀行が、日本居住者でも口座開設を受け付けてくれるのか、信頼できる最新情報を得るのが難しいのが実情です。言語の壁もあります。
  • 法規制・税務の複雑さ:国境を越える金融取引には、各国の法規制や税制が絡み合います。日本の税法だけでなく、口座を開設する国の税法も理解し、適切に対応する必要があります。

ソニー銀行で海外口座開設ができるか?

では、ソニー銀行を利用している方が、ソニー銀行を通じて海外(例えばアメリカやシンガポールなど)の銀行に口座を開設することはできるのでしょうか?

結論:ソニー銀行で「日本居住者のまま」海外口座を作るのは原則できません

残念ながら、ソニー銀行は、日本国内に居住している顧客向けに、海外の銀行口座開設を仲介したり、直接提供したりするサービスは行っていません。(※ソニー銀行のサービス内容は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。)

なぜ難しい? ソニー銀行のサービス対象と銀行法の規制

ソニー銀行が日本居住者向けの海外口座開設サービスを提供していない主な理由は以下の通りです。

サービス対象

ソニー銀行は日本の銀行であり、そのサービスは基本的に日本国内の居住者を対象として設計・提供されています。海外の銀行法や規制に準拠した口座開設手続きを、日本の顧客向けにリモートで行う体制は整えられていません。

銀行法・関連法規

日本の銀行法や金融商品取引法、犯罪収益移転防止法などに基づき、金融機関には厳格な顧客管理や本人確認義務が課せられています。国境を越えた非対面での口座開設は、これらの規制をクリアするのが極めて困難です。ソニー銀行に限らず、日本の多くの銀行が同様の理由で、非居住者向けの新規口座開設や、居住者向けの海外銀行口座開設サービスを提供していません。

「非居住者」なら話は別?

少し状況は異なりますが、「すでにソニー銀行の口座を持っている人が海外へ転居する場合(非居住者になる場合)」については、一定の条件と手続きのもとで口座を維持することが可能な場合があります。(※詳細な条件、手続き、利用可能なサービスについては、必ずソニー銀行の公式サイトで最新情報をご確認ください。)

  • 手続き:一般的に、出国前に「国外への住所変更届」の提出、日本国内連絡先の設定、税務上の居住地国の届出などが必要です。
  • 利用制限:非居住者になると、多くの場合、新規の取引(投資信託の売買、FX、海外送金など)は大幅に制限されます。既存の外貨預金の保有や、Sony Bank WALLETを使った一部の海外利用などは可能な場合がありますが、サービス内容は限定的になるのが通常です。
  • 注意点:NISA口座や特定口座は、日本の居住者であることが原則のため、非居住者になると原則として廃止または休止扱いとなります。継続が認められる場合でも出国前の手続きが非常に重要です。(※NISA・特定口座の非居住者に関する取り扱いは、最新の税法およびソニー銀行の規定をご確認ください。)

このように、既存顧客が非居住者になる場合でも制限が多いことから、ソニー銀行が積極的に海外居住者向けのサービスを展開していないことがうかがえます。

したがって、「ソニー銀行を通じて手軽に海外口座を」と考えていた方は、別の方法を探す必要があります。

日本にいながら海外口座を開設する方法は?

ソニー銀行では難しいと分かりましたが、それでも日本にいながら海外口座を開設する方法は全くないのでしょうか? 考えられる方法と、それぞれの注意点を解説します。ただし、いずれの方法も簡単ではなく、リスクが伴います

海外銀行口座を開設するには?
疑問にマルっと回答

方法1:ネットで完結?オンライン開設可能な銀行を探す際の注意点

一部の国や銀行、特に近年登場したフィンテック企業などでは、オンラインでの口座開設プロセスを提供している場合があります。しかし、これらを利用する際には細心の注意が必要です。

  • 信頼性:その金融機関は本当に信頼できるのか?現地の金融当局から認可を受けているか?預金保護制度はあるか?などを十分に確認する必要があります。安易に飛びつくと、詐欺被害に遭うリスクもあります。
  • 言語:手続きやその後の利用、サポートは基本的に英語または現地の言語になります。契約内容や利用規約を正確に理解し、万が一トラブルが発生した際にコミュニケーションが取れる語学力が必要です。
  • サポート体制:オンライン完結であっても、困ったときに電話やメールで適切なサポートを受けられるか確認しましょう。時差の問題もあります。
  • 居住者要件:オンライン手続きが可能に見えても、よく読むとその国の居住者であることが条件となっているケースも多いです。虚偽の申告は絶対にしてはいけません。

方法2:日本に支店を持つ外資系銀行への相談

過去には一部の外資系銀行で海外拠点への紹介が行われていた例もありましたが、近年、日本国内でのリテール事業からの撤退や縮小が進んでおり、利用できる銀行は非常に限られています。現在では、日本国内にプライベートバンキング拠点を持つごく一部の外資系銀行が、既存の富裕層顧客に対して、海外拠点への紹介を行う場合がある、という程度にとどまります。

これは誰でも利用できるわけではなく、一般的な選択肢ではありません

  • 高額な預入資産:通常、最低でも数千万円以上、実際にはさらに高額な条件(例:1億円以上など)の預入資産が求められることが多く、一般的な利用のハードルは極めて高いです。
  • 限定的なサービス:紹介が可能だとしても、希望する国の口座開設が必ずできるとは限りません。

この方法は、ごく一部の富裕層を除き、現実的な選択肢とは言えません。

方法3:開設サポート業者・コンサルタントの利用

「海外口座開設を代行・サポートします」と謳う業者やコンサルタントが存在します。書類作成の補助や、比較的開設しやすいとされる銀行を紹介してくれるなどのメリットがあります。

業者選びのポイント

もし利用を検討する場合は、業者の実績、評判、契約内容(特に免責事項や返金条件)、手数料体系を徹底的に確認しましょう。複数の業者を比較検討し、少しでも怪しいと感じたら依頼しないことが賢明です。金融庁など公的機関は、無登録業者や海外投資詐欺に関する注意喚起を行っていますので、参考にしてください。

冷静に判断!海外口座を持つメリットと、見落としがちなデメリット

海外口座を持つことには確かにメリットもありますが、それ以上にデメリットやリスクを十分に理解しておくことが極めて重要です

【メリット】資産分散、高金利の可能性、海外投資への直接アクセスなど

  • 資産の国際分散:資産を日本円だけでなく複数の通貨で持つことで、為替変動リスクや日本のカントリーリスクをヘッジする効果が期待できます。
  • 高金利の可能性:一部の新興国などでは、日本よりも高い預金金利を提供している場合があります。(ただし、インフレ率や為替リスク、信用リスクも考慮する必要があります。)
  • 海外投資へのアクセス:現地の証券口座と連携させるなどして、その国の金融商品(株式、債券など)に直接投資しやすくなる場合があります。
  • 海外での利便性:その国を頻繁に訪れる場合や、将来移住を考えている場合、現地通貨での支払いや送金がスムーズになります。

【デメリット①】為替変動リスク:円高・円安の影響を直接受ける

海外口座に預けた外貨建ての資産は、為替レートの変動によって円換算での価値が大きく変動します。円安になれば円換算価値は増えますが、逆に円高が進めば、たとえ外貨ベースで資産が増えていても、円換算では目減りしてしまいます。特に高金利通貨とされる国の通貨は、価格変動(ボラティリティ)が大きい傾向があります。

【デメリット②】手数料:送金、維持、両替…思った以上にかかるコスト

海外口座の利用には、様々な手数料がかかります。

  • 口座維持手数料:多くの海外銀行では、一定の預金残高がないと毎月口座維持手数料が引き落とされます。これが意外と高額な場合があります。
  • 国際送金手数料:日本から海外口座へ送金する際、日本の銀行の手数料、中継銀行の手数料、受取銀行の手数料がかかるのが一般的です。逆の送金(海外から日本へ)も同様です。
  • 両替手数料(為替スプレッド):円と外貨を両替する際には、必ず為替コスト(スプレッド)が発生します。オンラインバンキングでの両替レートは、必ずしも有利とは限りません。
  • ATM利用手数料:現地のATMで現金を引き出す際にも手数料がかかることが多いです。

これらの手数料が積み重なると、予想以上のコストになる可能性があります。

【デメリット③】税金:日本の税務当局への申告義務(CRS・国外財産調書)と二重課税リスク

これは非常に重要な点です。海外口座で得た利子や配当、売却益などは、原則として日本の居住者であれば日本の所得税・住民税の課税対象となり、確定申告が必要です。

  • CRS(共通報告基準):日本を含む世界中の多数の国・地域(2024年初頭時点で120以上、最新情報はOECD等でご確認ください)が参加する、金融口座情報を自動的に交換する仕組みです。あなたが海外に口座を持てば、その情報は(多くの国では)自動的に日本の国税庁に報告されます。「海外だからバレない」ということはありません。
  • 国外財産調書:年末時点で5,000万円(この基準額は変更される可能性があるため、最新の税法をご確認ください)相当額を超える国外財産(預金、不動産、有価証券など)を保有している場合、日本の税務署に「国外財産調書」を提出する義務があります(通常、提出期限は翌年3月15日ですが、最新情報をご確認ください)。
  • 二重課税リスクと外国税額控除:現地で源泉徴収された税金がある場合、日本での確定申告時に「外国税額控除」を適用することで、二重課税を調整できる場合がありますが、手続きは煩雑です。

税務申告を怠ると、重いペナルティ(延滞税、過少申告加算税など)が課される可能性があります

【デメリット④】言語・時差の壁:トラブル時のコミュニケーションは大丈夫?

口座に関する問い合わせや、万が一の不正利用、システムトラブルなどが発生した場合、銀行とのコミュニケーションは基本的に英語または現地の言語になります。専門的な金融用語も多く、正確な意思疎通が難しい場面も出てくるでしょう。また、時差があるため、リアルタイムでの電話サポートなどが受けにくい可能性もあります。

【デメリット⑤】預金保護制度:日本の制度は適用されないリスク

日本の銀行に預けている預金は、預金保険制度により、万が一銀行が破綻した場合でも一定額(通常、元本1,000万円とその利息)まで保護されます。しかし、海外の銀行に預けている預金には、日本の預金保険制度は適用されません。その国の預金保護制度が適用されることになりますが、保護の内容(対象となる預金の種類、保護の上限額、支払いまでの期間など)は国によって大きく異なります。保護が全くない、あるいは非常に限定的な国もあります。銀行の信用リスク(倒産リスク)を直接負うことになります。

【デメリット⑥】法規制・政治リスク:突然のルール変更や口座凍結の可能性

海外の国では、法律や金融規制が日本とは異なり、また、予期せず変更される可能性があります。

  • 非居住者への規制強化:ある日突然、非居住者の口座に対する規制が強化され、取引が制限されたり、口座維持手数料が引き上げられたり、最悪の場合、口座が強制的に解約・凍結されたりするリスクがあります。
  • 政治・経済情勢の変化:その国の政治的な混乱や経済危機、国際的な制裁などによって、預金の引き出しが制限されたり、送金ができなくなったりする可能性もゼロではありません。

まとめ:日本居住者の海外口座開設は情報収集と慎重な判断が不可欠

「ソニー銀行で海外口座を開設したい」という最初の疑問から、日本居住者が海外口座を持つことの現実、方法、メリット・デメリット、リスクまで幅広く解説してきました。

メリットだけでなく、デメリットとリスクを天秤にかける

海外口座には資産分散などのメリットがある一方で、為替リスク、高額な手数料、複雑な税務、言語の壁、預金保護の欠如、法規制の変更、詐欺被害、休眠・凍結リスクなど、多くのデメリットとリスクが伴います。メリットだけを見て安易に開設するのではなく、これらの負の側面を十分に理解し、ご自身でコントロールできるか、許容できるかを冷静に判断することが極めて重要です

本当に海外口座が必要か、代替案も比較検討しましょう

なぜ海外口座を持ちたいのか、その目的を改めて明確にしましょう。そして、その目的は本当に海外の銀行口座でなければ達成できないのか、海外の銀行口座開設以外の方法で目的を達成できないか、比較検討してみてください。多くの場合、より安全で手軽、かつ低コストな代替手段が見つかるはずです。

不安な点、不明な点は専門家(税理士など)への相談も視野に

特に税務や法規制に関する問題は複雑です。少しでも不安や疑問があれば、ご自身で判断せずに、国際税務や海外取引に詳しい税理士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。初期費用はかかりますが、将来的な大きなトラブルを避けるためには必要な投資と言えるでしょう。

日本にいながら海外口座を開設・保有することは、決して簡単なことではありません。十分な情報収集とリスク理解に基づいた、慎重な判断を心がけてください。

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合同会社PPS

「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル

合同会社PPS吉岩勇紀代表
合同会社PPS
吉岩勇紀代表

2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)の口座開設をサポートしている。

※2025年1月30日調査時点