三菱UFJ銀行で海外口座は開設できる?
海外への移住や長期滞在が決まると、現地での生活資金を管理するために海外銀行口座の開設を検討される方が多いでしょう。メインバンクとして三菱UFJ銀行(MUFG)を利用している方の中には、「三菱UFJ銀行で海外口座を開設できないか?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、そんな疑問にお答えするとともに、三菱UFJ銀行が提供する海外関連サービス、海外口座を持つ上での注意点、そして他の選択肢について、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
このページで分かること
- 三菱UFJ銀行で海外口座を「直接」開設できるか?(結論:原則できません)
- MUFGが提供する海外口座関連の主なサービス内容(紹介サービス、グローバルダイレクト)
- 米国(U.S. Bank)またはタイ(アユタヤ銀行)の口座開設を紹介してもらうための条件と手続き
- 海外へ引っ越す場合に日本のMUFG口座を維持管理する方法(グローバルダイレクト)
- MUFGを利用した海外送金の方法、手数料、注意点
- 海外口座を持つ上で非常に重要な税金のルール(概要と注意点)
- MUFG以外の海外口座開設・利用の選択肢
【結論】三菱UFJ銀行で海外口座は「紹介」が基本!直接開設は原則できません
まず、多くの方が疑問に思われる点について結論からお伝えします。日本の居住者が、三菱UFJ銀行の海外支店(例:ニューヨーク支店やロンドン支店など)で、個人用の銀行口座を直接開設することは、原則としてできません。
なぜ?「海外支店での直接開設」が難しい理由とMUFGの方針
海外の銀行で口座を開設するには、その国に居住していることの証明(住所証明書類など)や、有効なビザ、納税者番号などの提示が求められるのが一般的です。これは、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与の防止といった国際的な規制強化の流れを受けたものです。
そのため、日本に住んでいる方が、単に旅行などで海外の三菱UFJ銀行支店を訪れても、個人口座を簡単に開設することは難しいのが現状です。三菱UFJ銀行の方針としても、日本の居住者個人向けの海外支店での直接口座開設は、基本的に行っていないとされています。
MUFGができること:主なサービスは「紹介」と「国内口座管理サポート」
では、三菱UFJ銀行は海外口座に関して何もできないのでしょうか?いいえ、そういうわけではありません。MUFGでは、主に以下の2つのサービスを提供しています。
- 海外提携銀行への口座開設「紹介(取次)」サービス: 特定の国(現在、米国とタイ)への移住予定者向けに、現地の提携銀行への口座開設手続きを仲介するサービスです。
- 海外居住者向け国内口座管理サポート「グローバルダイレクト」: 海外へ引っ越した後も、日本国内にある三菱UFJ銀行の口座をインターネットバンキングで安全に管理しやすくするための有料サービスです。
つまり、「三菱UFJ銀行で海外口座を開設する」という場合、多くは前者の「紹介サービス」を利用することを指します。この点を理解しておくことが重要です。
以下では、これらのサービスについて詳しく見ていきましょう。
渡米・渡泰予定者向け!MUFGの海外口座「紹介サービス」徹底ガイド
三菱UFJ銀行では、特定の国へ移住予定の顧客に対し、現地の提携銀行への口座開設をサポートする「紹介(取次)」サービスを提供しています。これにより、渡航前に日本で一部の手続きを進めることができます。
※これらのサービス利用には、三菱UFJ銀行の国内取引口座が必要です。国内口座をお持ちでない方は、まず国内口座の開設が必要となります。
サービス概要:どんな国の、どの銀行を紹介してもらえる?
2025年4月現在、三菱UFJ銀行が紹介サービスを提供しているのは、以下の2カ国・2銀行です。
- アメリカ合衆国: U.S. Bank (ユーエスバンク)
- タイ王国: Bank of Ayudhya (アユタヤ銀行、ブランド名:Krungsri クルンシィ)
【アメリカ】U.S. Bank 口座開設取次サービス
アメリカへの駐在や留学などで移住を予定している方向けのサービスです。
誰が使える?利用資格と必須条件をチェック
このサービスを利用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 三菱UFJ銀行の国内取引口座(普通預金口座など)を持っていること。(※必須)
- 申し込み時点で満18歳以上であり、日本国内に居住している個人であること。
- 米国ビザ(査証)を取得済み、または申請中であること。(米国籍の方は不要)
- 原則として、申し込みから90日以内に米国に居住を開始する予定であること。
- 観光ビザ(Bビザ)やビザ免除プログラム(ESTA)での渡航は対象外です。
手続きの流れ:日本での依頼からU.S. Bankとの直接やり取りまで
口座開設までの大まかな流れは以下の通りです。三菱UFJ銀行の役割はあくまで「取次」であり、途中からは申込者自身がU.S. Bankと直接やり取りを進めることになります。
- 取次依頼書の準備: 三菱UFJ銀行のウェブサイトから「U.S. Bank 口座開設取次サービスに関する依頼書」をダウンロード・印刷し、必要事項を記入します。
- 書類の郵送: 記入済みの依頼書と、指定された本人確認書類のコピーを、三菱UFJ銀行の指定部署へ郵送します。この手続きは、銀行の支店窓口では受け付けていません。
- MUFGによる取次: 三菱UFJ銀行が書類を確認し、U.S. Bankへ取り次ぎます。
- U.S. Bankからの連絡: U.S. Bankから、口座開設手続きの案内が記載されたEメールが、申込者のメールアドレスに直接届きます。(迷惑メールフォルダに入らないよう、事前に`usbank.com`ドメインからのメール受信設定をしておくと良いでしょう)
- U.S. Bankへのオンライン申込: 届いたEメールの案内に従い、申込者自身がU.S. Bankのウェブサイト(英語の場合あり)で口座開設を申し込みます。この際、米国ビザ番号などの情報入力が必要になる場合があります。
- 最終手続き: オンライン申込後、デジタル署名や口座番号の通知、初回入金に関する案内などがU.S. BankからEメールで送られてきます。指定された期限内に手続きを完了させる必要があります。
これが必要!日本で準備する書類リスト
三菱UFJ銀行へ郵送する主な書類は以下の通りです。(最新の情報は必ず三菱UFJ銀行にご確認ください)
- 記入済みの「U.S. Bank 口座開設取次サービスに関する依頼書」
- 本人確認書類のコピー(有効期限内のもの)
- 例:パスポート(顔写真ページ、所持人記入欄 ※新様式は追加書類要の場合あり)+ 日本の運転免許証、マイナンバーカードなどもう1点。
- 外国籍の方や、米国籍の氏名で開設を希望する場合は、別途指定されることがあります。
期間と費用は?所要日数と関連手数料(送金・口座維持費など)
- 所要期間: 三菱UFJ銀行に書類を郵送してから、U.S. Bankから最初のEメールが届くまで数営業日、その後オンライン申込を経て口座開設完了までには、最短で1週間、最長で30日程度かかるとされています。書類の準備期間や郵送期間も考慮すると、余裕を持ったスケジュールが必要です。
- 費用:
- MUFG取次手数料: 三菱UFJ銀行への取次自体に関する手数料は、明記されていません。
- 海外送金手数料(MUFG): 開設したU.S. Bank口座へ日本から送金する場合、三菱UFJ銀行所定の海外送金手数料がかかります。(詳細は後述)
- U.S. Bank関連手数料: U.S. Bank側で発生する可能性のある主な手数料です。
- 被仕向送金手数料: 海外からの送金を受け取る際に、U.S. Bank側で手数料がかかる場合があります。
- 口座維持手数料: 口座の種類によりますが、月額の維持手数料がかかるのが一般的です(例:月額$6.95~)。ただし、一定の預金残高を維持する、給与振込を設定するなどの条件を満たすと免除される場合が多いです。(紹介プログラム利用者は免除される場合があるとの情報もありますが、詳細はU.S. Bankにご確認ください)
- 初回最低預金額: 口座開設自体は無料でも、口座を有効にするために少額(例:$25)の初回入金が必要な場合があります。
POINTMUFGは「取次」のみ!
知っておくべき注意点まとめ
- 三菱UFJ銀行の役割は、あくまでU.S. Bankへ申込者を紹介する「取次」です。口座開設の可否は、最終的にU.S. Bankの審査・判断によります。
- 取次後のオンライン申込手続きや、口座開設後の取引(入出金、各種手続き)は、すべて申込者とU.S. Bankとの間の直接契約となります。
- U.S. Bankの口座は、日本の預金保険制度の対象外です。
- U.S. Bankの商品やサービス内容は、予告なく変更される可能性があります。
- 手続きに関する連絡は、主にEメールで行われます。英語でのやり取りが必要になる場面も想定されます。
【タイ】アユタヤ銀行 口座開設取次サービス「クルンシィタイ ベネフィットパッケージ」
タイへの長期滞在(就労、留学など)を予定している方向けのサービスです。
誰が使える?利用資格と最重要条件(ノンイミグラントビザ必須!)
このサービスを利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 三菱UFJ銀行の国内取引口座(普通預金口座など)を持っていること。(※必須)
- 申し込み時点で満20歳以上であり、日本国内に居住している個人であること。
- タイに長期滞在する予定があること。
- 最重要条件: タイの「ノンイミグラントビザ(非移民ビザ)」を取得済みであること。これは、就労、留学、リタイアメント、配偶者などの長期滞在を目的としたビザです。観光ビザ(TR)や到着ビザ(VOA)では、このサービスは利用できません。
手続きの流れ:日本での「仮開設」とタイ現地での「本手続き」(90日以内)
タイのアユタヤ銀行の紹介サービスは、日本とタイの現地、二段階の手続きが必要です。
- 申込書の準備: 三菱UFJ銀行宛ての「取次依頼書」と、アユタヤ銀行宛ての「クルンシィタイ ベネフィットパッケージ申込書」を入手し、必要事項を記入します。
- 書類の郵送: 記入済みの申込書、パスポートのコピー、指定された本人確認書類のコピー、個人番号(マイナンバー)確認書類のコピーなどを、三菱UFJ銀行の指定部署へ郵送します。
- MUFGによる取次: 三菱UFJ銀行が書類を確認し、アユタヤ銀行へ取り次ぎます。
- 仮口座番号の通知: 申し込みから通常3~4週間程度で、三菱UFJ銀行経由でアユタヤ銀行の「仮口座番号」が通知されます。これはあくまで「仮開設」の状態です。
- タイ現地での本手続き(必須): 仮口座が開設された日から90日以内に、申込者本人がタイへ渡航し、指定されたアユタヤ銀行の支店窓口を訪問する必要があります。
- 現地での書類提出: 銀行窓口で、パスポート原本、有効なノンイミグラントビザ原本、そして滞在目的を証明する書類(例:労働許可証、留学先の学校が発行した証明書、タイの公的機関発行の居住証明など)を提示します。必要な証明書類はビザの種類や滞在目的によって異なるため、事前にアユタヤ銀行または三菱UFJ銀行に確認することが非常に重要です。
- 本手続き完了: 現地での書類確認などが完了すると、正式に口座が開設され、通帳やキャッシュカード(デビットカード機能付き)を受け取ることができます。
これが必要!日本とタイで用意する書類リスト
- 日本での申込時(MUFGへ郵送):
- 記入済みのMUFG宛取次依頼書、アユタヤ銀行宛申込書
- パスポートのコピー
- 日本の本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 個人番号(マイナンバー)が確認できる書類のコピー
- タイ現地での本手続き時(アユタヤ銀行窓口へ持参):
- パスポート原本
- 有効なノンイミグラントビザ原本
- 滞在目的を証明する書類原本(労働許可証、入学許可証、居住証明など、ビザの種類に応じたもの)
期間と費用は?所要日数と関連手数料(最低預金額・口座維持費など)
- 所要期間: 日本での申し込みから仮口座番号通知まで約3~4週間。タイ現地での本手続きは、仮口座開設日から90日以内に行う必要があります。
- 費用:
- MUFG取次手数料: 無料です。
- 海外送金手数料(MUFG): 日本から送金する場合、MUFG所定の手数料がかかります。
- アユタヤ銀行関連手数料:
- 最低預金額: 口座開設時に、通常500タイバーツ程度の初回預け入れが必要です。
- 口座維持手数料: 一定期間(例:12ヶ月)取引がなく、かつ預金残高が一定額(例:2,000バーツ)を下回った場合、月額の維持手数料(例:50バーツ)がかかることがあります。残高がゼロになると口座が閉鎖される可能性もあります。
POINTタイ現地での手続きが必須!
知っておくべき注意点まとめ
- このサービスは、日本での手続きだけでは完結しません。仮口座開設後90日以内に、必ず本人がタイのアユタヤ銀行指定支店へ行き、必要書類を提示して本手続きを行う必要があります。
- ノンイミグラントビザの取得が絶対条件です。観光目的での利用はできません。
- タイの法律や銀行規則の変更により、現地で求められる書類が変わる可能性があります。常に最新情報を確認してください。
- タイでの居住が終了し日本へ帰国する際には、原則として口座を解約することが推奨されています。(なお、日本帰国後の解約手続きはできません)
海外へ引っ越す方必見!「グローバルダイレクト」で日本の口座を安全に管理
海外への移住や長期滞在が決まったものの、「海外に新しい口座を作るほどではない」「日本の三菱UFJ銀行口座にある預金や、日本での支払い(年金、保険料など)をどう管理しよう?」と悩む方もいるでしょう。
そんな方のために、三菱UFJ銀行が提供しているのが「グローバルダイレクト」という有料のオプションサービスです。
※本サービスの利用には、三菱UFJ銀行の国内取引口座が必要です。
グローバルダイレクトとは?海外口座「開設」ではなく「維持」のサービス
重要な点として、グローバルダイレクトは海外に新しい銀行口座を開設するためのサービスでは「ありません」。これは、海外に居住することになった後も、日本国内にあるご自身の三菱UFJ銀行口座を、インターネットバンキング「三菱UFJダイレクト」を通じて安全かつ便利に管理し続けるためのサポートサービスです。
利用できるのはどんな人?対象者と利用できないケースを確認
このサービスは、将来的に日本へ帰国する予定のある、一時的な海外居住者を主な対象としています。
利用できる方(例):
- 日本の会社から海外へ赴任する方
- 日本の在外公館(大使館や領事館)に勤務する方
- 海外の学校へ留学する方
- 上記の方々と一緒に海外で暮らす家族
利用できないケース(例):
- 海外へ永住する(日本に帰国する予定がない)場合
- 特定の経済制裁対象国・地域(例:イラン、北朝鮮、シリア、クリミア地域など)へ渡航する場合(対象国は変更される可能性あり)
- すでに日本を出国してしまった後(申し込みは出国前のみ可能)
最大のメリット!OTPカード等の海外発送でネットバンキングを継続利用
グローバルダイレクトの最大のメリットは、インターネットバンキング利用時に必要な「ワンタイムパスワード(OTP)カード」や、銀行からの重要なお知らせなどを、海外の住所へ郵送してもらえる点です。
通常の三菱UFJダイレクトでは、これらの書類は日本国内の住所にしか送られません。そのため、海外にいるとOTPカードの有効期限が切れた際に新しいカードを受け取れず、インターネットバンキングが利用できなくなってしまうリスクがあります。グローバルダイレクトを契約しておけば、この問題を回避し、海外からでも安全にインターネットバンキングを使い続けることができます。
海外居住中にできること・できなくなること(利用制限一覧)
グローバルダイレクトを利用して三菱UFJダイレクトを継続利用する場合、海外からでも以下のようなことができます。
- 残高照会、入出金明細照会
- 日本国内の登録済み口座への振込・振替
- 海外送金(自身の海外口座への生活費送金など。月間限度額あり、送金先国による制限あり)
- 住所変更などの一部届け出
一方で、海外居住者(非居住者)になることで、利用できなくなる取引もあります。
- 投資信託の新規購入・解約
- NISA口座での取引
- 金融商品仲介(証券口座)の取引
- 住宅ローンの新規申し込み など
これらの取引を予定している場合は、出国前に手続きを済ませておくか、口座を解約するなどの対応が必要になる場合があります。また、滞在する国の法律によっては、さらに利用できるサービスが制限される可能性もあります。
POINT申し込みは必ず出国前に!
手続き方法と必要書類
グローバルダイレクトの利用を希望する場合、以下の点が非常に重要です。
- 申し込み場所: 三菱UFJ銀行の国内支店窓口での手続きが必要です。
- 申し込み時期: 必ず、日本を出国する前に申し込む必要があります。出国後の申し込みはできません。手続きには時間がかかるため、出国予定日の2~3週間前までには申し込むことが推奨されています。(特にOTPカードの発行・切替が必要な場合)
- 来店予約: 窓口での手続きは、事前に来店予約をしておくとスムーズです。
申し込みに必要な主な書類は以下の通りです。(最新情報は必ずご確認ください)
- グローバルダイレクト申込書
- 届出印(印鑑レス口座の場合は不要な場合あり)
- 本人確認書類:パスポート原本(顔写真・所持人記入欄のあるページ。新様式は追加書類要の場合あり)。外国籍の方は在留カード等も必要。
- 勤務先や留学先が確認できる書類:
- 海外赴任者:社員証など+海外赴任証明書(会社発行のものなど)
- 留学者:留学期間や学校名が記載された証明書(入学許可証など)
- 同行家族:主たる赴任者・留学者の上記証明書類のコピーなど
利用料金は?月額手数料について
グローバルダイレクトの利用には、月額300円(消費税非課税)の手数料がかかります。ただし、日本の税法上「居住者」とみなされる方(例:在外公館勤務の方など)は、消費税が加算され月額330円(税込)となります。この手数料は、申込代表口座(円普通預金)から毎月自動的に引き落とされます。
グローバルダイレクトは、海外生活中に日本の口座を管理する上で便利なサービスですが、有料であること、申し込みは出国前に限られること、一部取引に制限があることを理解しておきましょう。
日本から海外へ送金!三菱UFJ銀行の海外送金サービス活用術
海外口座を開設したり、海外生活を始めたりすると、日本から海外へお金を送る(海外送金)場面が出てきます。三菱UFJ銀行を利用して海外送金を行う方法や、気になる手数料について解説します。
どうやって送る?「三菱UFJダイレクト」と「窓口」の方法を比較
三菱UFJ銀行で海外送金を行う主な方法は、以下の2つです。
- 三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング):
- メリット: 24時間いつでも(システムメンテナンス時を除く)パソコンやスマホから申し込み可能。窓口より手数料が安い。
- デメリット: 事前に「外国送金サービス」の利用登録が必要(郵送手続き含め約2週間かかる)。送金先口座の事前登録も必要。送金できる金額や条件に制限がある場合がある。
- 店頭窓口:
- メリット: 送金に関する相談ができる。高額な送金や複雑な送金に対応できる場合がある。
- デメリット: 手数料が高い。銀行の営業時間内に行く必要がある。事前の来店予約や、オンラインツールでの送金依頼書作成が推奨されており、手間がかかる。
手数料を徹底比較!ダイレクト利用が断然お得な理由
海外送金の手数料は、どの方法で送るかによって大きく異なります。結論から言うと、三菱UFJダイレクトを利用する方が、窓口よりもかなり安く済みます。
以下は、1件あたりの主な送金手数料の比較例です(2025年4月時点、最新情報は必ずご確認ください)。
送金方法 | 送金先 | 送金手数料 |
---|---|---|
三菱UFJダイレクト | MUFG本支店・海外拠点宛 | 2,500円 |
三菱UFJダイレクト | 他の銀行宛 | 3,000円 |
店頭窓口(Webサポート+利用) | MUFG本支店・海外拠点/他の銀行宛 | 7,000円 |
見ての通り、インターネットバンキングを使えば、窓口の半額以下で送金できます。
送金手数料以外もチェック!円為替取扱手数料・関係銀行手数料とは?
上記の「送金手数料」以外にも、海外送金では以下のような手数料が発生することがあります。
- 円為替取扱手数料(リフティングチャージ): 日本円のまま送金する場合や、外貨預金から同じ通貨で送金する場合などにかかる手数料です。送金金額の1/20%(最低2,500円)が別途必要になります。つまり、日本円で送金すると、送金手数料に加えてこの手数料もかかる可能性があります。
- 関係銀行手数料(中継銀行手数料・支払銀行手数料): 送金が日本と現地の銀行の間で、他の銀行(中継銀行)を経由する場合や、最終的に受け取る側の銀行(支払銀行)でかかる手数料です。これらの手数料は、多くの場合、送金した金額から差し引かれて相手に着金します。
- 三菱UFJダイレクトでは、この関係銀行手数料は原則「受取人負担」となり、送金額から引かれます。
- 店頭窓口では、追加の手数料(例:3,000円)を支払うことで「送金人負担」を選択できる場合もありますが、実際にかかった費用が追加手数料を上回った場合は、後で差額を請求されることもあります。
このように、海外送金の手数料は単純ではなく、いくつかの種類があることを理解しておく必要があります。
為替レートと隠れたコストについて
日本円を外貨に換えて送金する場合、銀行が適用する「為替レート」も実質的なコストの一部です。銀行が提示する為替レートには、市場のレートに上乗せされた銀行所定の手数料(スプレッド)が含まれています。送金額が大きくなるほど、このコストも無視できなくなるため注意が必要です。
送金完了までどれくらい?所要日数と手続き上の注意点
- 三菱UFJダイレクトの外国送金サービス利用登録: 申し込みから利用可能になるまで約2週間。
- 送金手続きから着金まで:
- 三菱UFJダイレクト: 申し込み後、原則当日または翌営業日に送金処理が行われます。
- 店頭窓口: 受付から送金処理まで約3営業日かかる場合があります。
- 送金処理後、実際に相手の口座に着金するまでには、通貨や経由する銀行によって数営業日かかります。
- 注意点:
- 送金目的や送金相手との関係について、銀行から確認の電話などが入ることがあります。
- マイナンバー(個人番号)の届出が必要です。
- 一度送金手続きをすると、内容の変更や取り消し(組戻し)には別途手数料がかかり、時間もかかります。送金情報は正確に入力しましょう。
初めて三菱UFJダイレクトで海外送金をする場合は、利用登録から着金まで最大3週間程度かかる可能性もあるため、余裕をもって手続きを始めましょう。
もっと安く便利に?Wise(旧TransferWise)など代替サービスとの比較検討
最近では、Wise(ワイズ、旧TransferWise)やRevolut(レボリュート)といった、銀行とは異なる仕組みで海外送金サービスを提供するフィンテック企業も登場しています。
これらのサービスは、多くの場合、銀行よりも市場の実勢レートに近い為替レートを適用し、手数料体系もよりシンプルで分かりやすい(事前に総額が分かることが多い)という特徴があります。
頻繁に海外送金をする方や、少しでもコストを抑えたい方は、三菱UFJ銀行のサービスだけでなく、これらの代替サービスの手数料や使い勝手を比較検討してみる価値があるでしょう。
三菱UFJ銀行以外の選択肢はある?
海外口座開設・利用の代替案
三菱UFJ銀行の紹介サービスは、米国・タイへの移住予定者には一つの選択肢ですが、それ以外の国へ行く場合や、条件が合わない場合、もっと手軽な方法を探している場合などは、他の方法も検討してみましょう。
自分でチャレンジ?海外銀行での直接口座開設の可能性と難易度
前述の通り、日本にいながら海外の銀行口座を直接開設するのは難しいですが、不可能ではありません。
- 現地に行って開設する: 一般的に非居住者の口座開設は難しいですが、国や銀行、状況によっては可能な場合もあります。ただし、渡航の手間、言語、必要書類などのハードルがあります。
- 他の日系メガバンクのサービスを利用する: 三井住友銀行なども、海外赴任者向けのサービスや、提携銀行の紹介を行っている場合があります。利用条件を確認してみましょう。
- 海外口座開設サポート会社を利用する: 手数料はかかりますが、専門業者のサポートを受ける方法もあります。信頼できる業者を選ぶことが重要です。
まとめ:あなたの状況に合った海外口座との付き合い方は?
ここまで、三菱UFJ銀行の海外口座関連サービスを中心に、海外送金、税金、その他の選択肢について解説してきました。最後に、どのような方にどの選択肢が向いているか、ポイントをまとめます。
三菱UFJ銀行の「紹介サービス」がおすすめなのはこんな人
- アメリカ(U.S. Bank)またはタイ(アユタヤ銀行)への移住(駐在、留学など)が具体的に決まっている方。
- 利用資格(MUFG国内口座保有、年齢、ビザ要件など)を満たしている方。
- 特にタイの場合は、仮開設後90日以内に現地で本手続き(ノンイミグラントビザ提示必須)を行える方。
- 渡航前に、日本である程度の手続きを進めておきたい方。
- 取次後の手続きの手間や、提携銀行の口座維持手数料などを許容できる方。
三菱UFJ銀行の「グローバルダイレクト」がおすすめなのはこんな人
- 海外赴任や留学などで一時的に海外居住するが、将来日本に帰国する予定がある方。
- 海外に新しい口座を作る必要はなく、主に日本国内にある三菱UFJ銀行の口座を海外から管理したい方。
- インターネットバンキングの継続利用に不可欠な、OTPカードなどの海外郵送サービスを希望する方。
- 日本を出国する前に、国内の三菱UFJ銀行窓口で申し込み手続きができる方。
- 月額の利用手数料(300円または330円)を支払うことに抵抗がない方。
三菱UFJ銀行以外のサービスを検討した方が良いのはこんな人
- 米国・タイ以外の国へ移住・長期滞在する予定の方。
- MUFGの紹介サービスの利用資格を満たさない方。
- もっと手軽に、オンラインで海外口座(またはそれに準ずる機能)を開設したい方。
- 海外送金の頻度が多く、コストをできるだけ抑えたい方。
- 複数の通貨を一つのアカウントで管理したい方。(→Wise, Revolutなどのフィンテックサービスが候補)
- 現地に行って自分で口座開設に挑戦したい方、またはサポート会社を利用したい方。
最終
チェック海外口座の開設・利用で
失敗しないための重要ポイント
どの方法を選ぶにしても、海外口座との付き合いで失敗しないために、以下の点は必ず確認・理解しておきましょう。
- 本当に必要か?: まず、本当に海外口座が必要なのか、目的を明確にしましょう。短期の滞在であれば、日本のクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードなどで十分な場合もあります。
- 口座維持コスト: 開設手数料だけでなく、月額の口座維持手数料や、最低預金残高の条件などを確認しましょう。
- 送金コスト: 日本との間で送金する場合の手数料(送金銀行、中継銀行、受取銀行)や、為替レートに含まれるコストを把握しましょう。
- 利便性と制限: ATMの場所や手数料、インターネットバンキングの使いやすさ、日本語サポートの有無、利用できる機能と制限などを確認しましょう。
- 安全性: 銀行の信頼性や、預金保護の仕組み(日本の預金保険は対象外)について理解しておきましょう。フィンテックサービスの場合は、資金の保全方法などを確認しましょう。
- 税金のルール: CRSによる情報交換、日本の全世界所得課税、確定申告義務、国外財産調書制度などを理解し、適切に対応しましょう。不明な点は専門家へ相談!
海外口座の開設は、ゴールではなくスタートです。ご自身の状況や目的に合った方法を選び、必要な手続きや注意点をしっかり理解した上で、計画的に準備を進めることが大切です。
by
合同会社PPS
「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル

- 合同会社PPS
- 吉岩勇紀代表
2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)の口座開設をサポートしている。
※2025年1月30日調査時点