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海外銀行口座を非居住者が開設するには?

このページで分かること

  • 非居住者が海外銀行口座を開設できる現実的な5つの方法と選び方
  • 開設前後に必須の書類・手数料のポイント
  • Wiseなど代替サービスとの使い分け

なぜ非居住者の海外口座開設はこんなにハードルが高いのか?

近年、非居住者が海外で銀行口座を開設することは、以前にも増して困難になっています。その背景には、国際的な金融規制の強化や、銀行側のリスク管理体制の見直しなど、複数の要因が複雑に絡み合っています。このセクションでは、なぜこれほどまでに海外口座開設のハードルが高くなっているのか、その理由を掘り下げていきます。

主要国・銀行が求める「居住証明」とKYC強化の現実

多くの国や金融機関が口座開設の絶対条件として求めるのが、その国における「居住証明」です。これは、公共料金の請求書や賃貸契約書など、申請者がその国に実際に住んでいることを示す公的な書類を指します。しかし、日本に住む非居住者にとって、海外の居住証明を提示することは物理的に不可能です。これに加え、マネーロンダリングやテロ資金供与対策として、世界的にKYC(Know Your Customer:顧客確認)のルールが厳格化されています。銀行は、口座開設希望者の本人情報、収入源、取引目的などをより詳細に確認する義務を負っており、非居住者の場合はその確認作業が煩雑になるため、敬遠されがちなのです。特に、アメリカのSSN(社会保障番号)のような現地納税者番号の提示を求められるケースも多く、これも非居住者にとっては大きな壁となります。過去には比較的緩やかだった国や銀行も、国際的な圧力や規制の流れを受けて、軒並み基準を引き上げているのが現状です。

銀行とフィンテック 規制とビジネスモデルの違い

伝統的な銀行と、Wiseに代表されるようなフィンテック企業とでは、規制のあり方やビジネスモデルが大きく異なります。銀行は、預金の受け入れや融資など多岐にわたる金融サービスを提供するため、各国の金融当局から厳しい監督下に置かれ、預金保険制度などの保護下にある一方で、遵守すべき規制も膨大です。非居住者の口座開設に伴うリスク評価や管理コストの増大は、銀行にとって収益性を圧迫する要因となり得ます。一方、フィンテック企業の多くは、送金や決済といった特定のサービスに特化しており、銀行とは異なるライセンス(例えば資金移動業)で運営されています。そのため、比較的スピーディーかつオンラインでサービスを提供しやすいビジネスモデルを構築できていますが、提供するサービスの範囲や預金保護の仕組みは銀行と異なる点に注意が必要です。この違いが、口座開設の容易さにも影響を与えています。

銀行

預金保護制度のもとで預金を受け入れ、貸付や決済など多岐にわたる金融サービスを提供します。そのため、金融当局から厳しい規制を受け、顧客管理にも多大なコストと責任を負います。

フィンテック企業

多くは資金移動業者としてのライセンスで運営され、送金や多通貨管理といった特定領域に特化したサービスを提供します。銀行とは異なる規制枠組みの中で、テクノロジーを活用して効率的かつ低コストなサービスを実現しています。ただし、預金保険の対象外であるなど、銀行とは異なる特性も理解しておく必要があります。

CRSで隠せない時代、税務リスクを正しく理解する

国際的な税務透明性を高めるための枠組みとして、CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)の存在は無視できません。日本を含む多くの国がCRSに参加しており、これにより各国の金融機関は、非居住者の口座情報を自国の税務当局に報告し、その情報が各国の税務当局間で自動的に交換される仕組みが構築されています。

つまり、海外に銀行口座を開設すれば、その口座残高や利子・配当といった情報は、原則として日本の国税庁にも共有されることになります。これにより、海外口座を利用した意図的な資産隠しや脱税は極めて困難になりました。非居住者であっても、海外で得た所得に対する日本の税法に基づく納税義務や、一定額以上の国外財産を保有する場合の国外財産調書の提出義務などを正しく理解し、遵守することが不可欠です。これらの税務コンプライアンスを怠った場合、追徴課税やペナルティといったリスクに直面する可能性があります。

5つの開設方法を徹底比較!あなたに最適なのはどれ?

非居住者が海外銀行口座を開設するための道は決して閉ざされているわけではありませんが、その方法は限られており、それぞれに特徴と難易度が存在します。

ここでは、現実的に検討可能な五つのアプローチを紹介し、それぞれのメリット、デメリット、そしてどのようなニーズを持つ方に適しているのかを解説します。ご自身の状況や目的に照らし合わせ、最適な方法を見極めるための参考にしてください。

現地支店訪問型

最も確実性が高いとされる方法の一つが、実際に海外の銀行支店へ足を運び、対面で口座開設手続きを行うことです。特に、ハワイの一部の銀行や、香港のHSBCなどがこの方法での開設事例として知られていますが、国や銀行によって条件は大きく異なります。

このアプローチの最大のメリットは、銀行担当者と直接コミュニケーションを取りながら手続きを進められる点ですが、渡航費用と時間、そして語学力(英語または現地の公用語)が求められる点がデメリットとなります。

また、パスポート、英文の住所証明、マイナンバー関連書類、初期預金など、事前に準備すべき書類も多く、銀行によっては来店予約が必須となる場合もあります。金融センターとして知られる国や都市の銀行では、より厳格な審査が行われる傾向にあります。この方法は、時間に余裕があり、確実に口座を開設したい、あるいは特定の国や銀行に強い希望がある場合に検討する価値があるでしょう。

日本銀行の仲介サービス

一部の日本の大手銀行では、提携する海外銀行の口座開設を仲介するサービスを提供している場合があります。

過去には三菱UFJ銀行がアメリカのユニオンバンクの口座開設をサポートしていましたが、現在は新規受付を停止しています。現在利用可能な例としては、三菱UFJ銀行によるタイのアユタヤ銀行の口座開設サポートなどが挙げられますが、これは基本的にタイへ居住予定のある方が対象となるなど、条件が限定的です。この方法のメリットは、日本語でのサポートが期待でき、手続きの煩雑さが軽減される可能性がある点です。

しかし、対象となる国や銀行が非常に限られており、仲介元の日本国内銀行に口座を持っていることや、年齢制限、渡航予定の証明などが条件となることが一般的です。また、日本で仮口座を開設した後、一定期間内に現地で本手続きを完了させる必要があるケースも多く、銀行の方針変更によってサービスが突然終了するリスクも考慮しておく必要があります。

代理店・コンサルを利用する

海外口座開設を専門とする代理店やコンサルタントのサポートを受けるのも一つの選択肢です。特に、カンボジアのように非居住者でも比較的口座開設がしやすいとされる国や、オフショア地域での口座開設を目指す場合に有効な場合があります。代理店は、言語の壁の克服、必要書類の準備サポート、銀行とのやり取りの代行などを提供してくれる可能性があります。

しかし、当然ながら手数料が発生するため、費用対効果を慎重に見極める必要があります。また、代理店の信頼性や実績を十分に調査することも重要です。一部の代理店では、郵送のみで手続きが完結すると謳っている場合もありますが、その場合でも最終的な審査は銀行が行うため、開設が保証されるわけではありません。手続きの複雑さに不安を感じる方や、特定の国での開設に強いニーズがあるものの、自力での情報収集や手続きが難しい場合に検討される方法です。

日本国内にある海外銀行支店で作る

日本国内にも、シティバンクやHSBC(現在は個人向け業務から撤退・縮小傾向)のように海外に本店を置く銀行の支店が存在しますが、これらの支店で口座を開設しても、それは基本的に日本国内の口座として扱われ、日本の金融規制下に置かれます

そのため、「海外に資産を移したい」「海外の金利を享受したい」といった目的での「海外口座」開設には該当しない場合がほとんどです。ただし、例外的に、フィリピンのPNB(フィリピン・ナショナル・バンク)の東京支店や名古屋出張所では、特定の条件を満たすフィリピン国籍保有者や関連者向けにフィリピン本国の口座開設サポートを行っているケースや、東京スター銀行が台湾居住者向けに非居住者円預金口座のサービスを提供しているといった特殊な例は存在します。

しかし、これらは一般的な非居住者日本人が利用できる選択肢とは言えません。日本にいながら手軽に海外口座を開設したいという期待には、残念ながら応えられないことが多いのが実情です。

「オンライン完結」のサービスを利用する

日本にいながら、完全にオンラインで海外の伝統的な銀行口座を開設することは、現在では非常に稀であり、多くの場合は何らかの制約が伴います

例えば、渡航予定がありビザを取得済みであること、あるいは非常に高額な最低預金額が設定されているなど、特別な条件を満たす必要がある場合がほとんどです。過去には郵送手続きで開設できた例もありましたが、規制強化の流れの中で、そのようなサービスは縮小・停止される傾向にあります。

一方で、Wiseのようなフィンテック企業が提供するマルチカレンシーアカウントは、オンラインで比較的容易に開設手続きが完結し、複数の国の銀行口座情報を持つことができるため、伝統的な銀行口座の代替として注目されています。ただし、これらは銀行の預金口座とは異なり、預金保険の対象外であったり、利息が付かないなどの違いがある点を理解しておく必要があります。完全にオンラインで、かつ伝統的な銀行の「預金口座」を開設したいというニーズを満たすのは、現時点では極めて難しいと言えるでしょう。

開設方法 一般的な難易度 主な要件例 メリット デメリット
1. 現地支店訪問型 中〜高 渡航、パスポート、英文住所証明、マイナンバー、初期預金 直接手続きでき、選択肢が多い可能性 渡航費用・時間、言語の壁、事前準備が煩雑
2. 日本の銀行の仲介サービス 低〜中 仲介銀行口座、対象国への居住予定、現地での追加手続き 日本語サポートがあり、手続きが比較的スムーズ 対象国・銀行が限定的、サービス停止リスク、居住予定など条件が厳しい
3. 代理店・コンサルを利用する 代理店手数料、必要書類は銀行による 手続き代行、言語サポート、専門知識の活用 費用発生、代理店の信頼性を見極める必要あり
4. 日本国内の海外銀行支店 非常に低い 通常は日本居住者向け 日本国内で手続き可能(ごく一部の例外を除き国内口座扱い) 通常「海外口座」のメリットは享受できない
5. オンライン完結のサービス 低(フィンテック) メールアドレス、本人確認書類(オンライン提出) 手軽に開設可能、多通貨対応、低コスト送金など 預金保険対象外、利息が付かない場合が多い、伝統的銀行の全機能はない

日本にいながら
海外銀行口座開設する方法を詳しく

これだけは揃えたい!必要書類・資金要件と手数料のリアル

海外銀行口座の開設には、国内での口座開設とは異なる準備と心構えが必要です。特に、提出を求められる書類の種類や、口座開設・維持にかかる費用については、事前に正確な情報を把握しておくことが、スムーズな手続きと後のトラブル回避に繋がります。ここでは、一般的に要求される書類、資金面での要件、そして見落としがちな手数料について、具体的なポイントを解説します。

パスポート×英文住所証明×マイナンバーが基本セット

海外銀行口座開設における必要書類は、国や銀行によって細かな違いはありますが、ほぼ共通して要求されるのが、有効なパスポート、英文の現住所証明、そしてマイナンバー(個人番号)関連書類の三点です。

パスポートは、国際的な本人確認書類として最も基本的なものです。英文の住所証明としては、日本の役所で発行される住民票の写し(英訳付きが望ましい場合や、別途翻訳・公証が必要な場合もある)や、国際運転免許証、あるいは公共料金の請求書(発行から3ヶ月以内など期限が指定されることが多い)などが考えられますが、銀行によって認められる書類が異なるため、事前の確認が不可欠です。そして、CRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報の自動交換制度により、日本の納税者番号であるマイナンバーの提示も多くの海外金融機関から求められます。

これらの基本セットに加え、銀行によっては収入証明(給与明細や確定申告書の写しなど)、資金源を証明する書類、渡航目的や滞在資格を示す書類(ビザなど)、銀行所定の申込書への記入と署名が必要となります。書類準備には時間がかかる場合もあるため、早めに確認し、不備なく揃えることが重要です。

初期預金・口座維持手数料・為替スプレッドを試算しよう

海外銀行口座の利用には、様々なコストが伴います。まず、口座開設時に一定額以上の初期預金(ミニマムデポジット)を求められることが一般的です。この金額は銀行や口座の種類によって大きく異なり、数万円程度から数百万円以上と幅があります。

次に注意すべきは、口座維持手数料です。多くの海外銀行では、預金残高が一定額を下回った場合に毎月手数料が徴収されます。この手数料は日本の銀行と比較して高額な場合があり、知らず知らずのうちに残高が目減りしていたという事態も起こり得ます。また、日本円と外貨を両替する際には、銀行が設定する為替レートが適用されますが、ここには為替スプレッド(売値と買値の差)が含まれており、実質的な手数料となります。

その他にも、国際送金手数料(中継銀行手数料が別途かかることも)、ATM利用手数料(特に海外での利用や提携外ATMの場合)、デビットカードやクレジットカードの発行・年会費なども考慮に入れる必要があります。これらのコストを事前に試算し、口座を持つメリットと比較検討することが大切です。

口座凍結・休眠リスクを避けるための定期アクション

海外の銀行口座は、長期間利用がないと「休眠口座(Dormant Account)」として扱われ、最終的には凍結されたり、閉鎖されたりするリスクがあります。

定期的な取引

数ヶ月~1年に一度は、少額でも入出金を行ったり、オンラインバンキングにログインして残高照会をしたりするなど、口座をアクティブに利用している形跡を残すことが重要です。

登録情報の更新

住所、メールアドレス、電話番号などの連絡先情報に変更があった場合は、速やかに銀行に届け出る必要があります。銀行からの重要なお知らせが届かないと、口座凍結の一因となることがあります。

銀行からの連絡には必ず対応

銀行から何らかの問い合わせや書類提出依頼があった場合は、放置せずに必ず対応しましょう。

一度凍結されてしまうと、解除に手間や時間がかかるだけでなく、最悪の場合、口座内の資金を引き出せなくなる可能性もゼロではありません。定期的なメンテナンスを心がけましょう。

税務コンプライアンス&CRS 知らないと損する3つの義務

海外に銀行口座を持つことは、国際的な資産管理の選択肢を広げる一方で、税務上の責任も伴います。特にCRS(共通報告基準)の導入以降、海外の金融資産に関する透明性は格段に高まりました。知らなかったでは済まされない、非居住者が海外口座を持つ上で理解しておくべき主要な税務上の義務について解説します。これらの義務を怠ると、思わぬペナルティが課される可能性もあるため、正確な知識を持つことが不可欠です。

金融機関から自動報告される情報と国外財産調書

CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)に基づき、日本を含む世界各国の金融機関は、非居住者の口座情報をその国の税務当局に自動的に報告します。報告される主な情報は以下の通りです。

  • 氏名、住所、生年月日
  • 納税者番号(日本の場合はマイナンバー)
  • 口座番号
  • 口座残高(年末時点)
  • 利子、配当、その他の年間受取総額

つまり、海外に銀行口座を開設すれば、その情報は高い確率で日本の国税庁に連携されると考えておくべきです。

また、日本の居住者で、その年の12月31日時点で国外財産の合計額が5,000万円を超える場合は、「国外財産調書」を翌年の3月15日までに所轄の税務署に提出する義務があります。この国外財産には、海外の預金口座も含まれます。

利子・配当・キャピタルゲインの確定申告フロー

海外の銀行口座で得た預金の利子、株式投資などによる配当金、あるいは資産売却によって生じたキャピタルゲイン(譲渡益)は、原則として日本の所得税の課税対象となり、確定申告を通じて納税する必要があります。海外で源泉徴収されている場合でも、日本との租税条約の規定に基づき、外国税額控除の適用を受けることで二重課税を調整できる場合がありますが、その際も確定申告が必要です。申告手続きは、国内での所得と同様に、毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。海外の金融機関から送られてくる取引報告書や利息計算書などを基に、日本円に換算して所得金額を計算し、申告書に記載します。税務の専門知識が必要となる場合も多いため、不明な点があれば税理士などの専門家に相談することを推奨します。

非居住者転出後の日本口座制限と二重課税に注意

日本から海外へ移住し、税法上の「非居住者」となった場合、これまで利用していた日本の銀行口座や証券口座の利用に一部制限がかかることがあります。例えば、新規のローン契約ができなくなったり、投資信託の新規購入が停止されたり、場合によっては口座維持自体が難しくなるケースも報告されています。

出国前に、利用している金融機関に非居住者になる旨を届け出て、手続きについて確認しておくことが重要です。また、海外に居住しながら日本国内で所得が発生する場合(例えば、日本国内の不動産賃料収入など)や、居住国と日本との間で租税条約が結ばれていない、あるいは複雑な規定がある場合には、二重課税のリスクも考慮する必要があります。

どの国で、どの所得に対して、どのように課税されるのかを正しく理解し、適切に対処するためには、国際税務に詳しい専門家のアドバイスが不可欠となるでしょう。

海外通貨での送金や支払いを行いたい場合はwiseという選択肢も

伝統的な海外銀行口座の開設とその維持には、これまで見てきたように多くのハードルやコストが伴います。特に、海外のクライアントからの報酬受け取り、海外への仕入れ代金の支払い、あるいは複数の外貨を効率的に管理したいといったニーズに対して、より手軽で低コストな解決策を求める声が高まっています。

そのような中で、Wise(旧TransferWise)に代表されるフィンテック企業のマルチカレンシーアカウントは、有力な代替手段として注目を集めています。

Wiseのアカウントを開設すると、ユーザーは米ドル、ユーロ、英ポンド、オーストラリアドルなど、複数の主要通貨について、あたかもその国に銀行口座を持っているかのような口座情報(例えば、米国のACHルーティングナンバーや英国のソートコードなど)を取得できます。これにより、海外からの送金を現地通貨のまま、あるいは非常に低い手数料で受け取ることが可能になります。

また、海外への送金も、銀行間送金と比較して透明性が高く、有利な実際の為替レート(ミッドマーケットレート)と格安な手数料で行える点が大きな特徴です。

口座開設手続きはオンラインで比較的簡単に完結し、スマートフォンアプリなどを通じて、複数の通貨を一元的に管理したり、リアルタイムで両替したりすることができます。付属のデビットカードを利用すれば、海外旅行先での支払いやATMからの現地通貨引き出しも、有利なレートで行える場合があります。

ただし、Wiseは銀行ではなく、日本では資金移動業者として登録されている金融テクノロジー企業であるという点を理解しておくことが重要です。そのため、Wiseのアカウント内の資金は、一般的な銀行預金のように預金保険制度による保護の対象とはならない場合があります(ただし、Wiseは顧客資金を分別管理するなどの保全措置を講じています)。また、預金利息が付かない、ローンや複雑な投資商品といった伝統的な銀行が提供する広範な金融サービスは提供していない、といった違いもあります。

したがって、Wiseのようなサービスは、主に国際間の「取引」の円滑化、送金コストの削減、複数外貨の「保有」と管理といった目的には非常に有効ですが、資産形成や特定の国での信用構築、あるいは総合的な金融サービスを求める場合には、伝統的な銀行口座の必要性が依然として残る可能性があります。ご自身のニーズや利用目的を明確にし、伝統的な銀行口座とフィンテックサービスそれぞれのメリット・デメリットを比較検討することが賢明です。

Wiseがおすすめなのはどんな人?

  • 海外のクライアントから報酬を受け取るフリーランスや個人事業主
  • 海外ECサイトでの仕入れや、海外への商品販売を行う小規模事業者
  • 海外に留学・駐在する家族への生活費送金
  • 海外旅行や出張が多く、現地通貨での支払いを頻繁に行う人

まとめ

非居住者としての海外銀行口座開設は、決して不可能な道のりではありませんが、その実現には周到な準備と正しい情報収集、そして明確な目的意識が不可欠です。国際的な金融規制の強化や、各銀行のポリシー変更など、状況は常に流動的であることを念頭に置き、最新の情報を確認しながら慎重に手続きを進める必要があります。

開設→維持→拡張までのチェックリスト

海外銀行口座の開設から維持、そして将来的な活用までを見据えたアクションプランを立てる際には、以下の点をチェックリストとしてご活用ください。

開設準備フェーズ

  • 海外口座開設の目的を明確にする
  • 候補となる国・銀行・サービスをリストアップし、最新情報を収集する
  • 必要書類(パスポート、英文住所証明、マイナンバー等)を準備する
  • 初期預金、各種手数料(口座維持手数料など)を確認し、資金計画を立てる
  • 語学力や現地渡航の必要性を確認する

開設手続フェーズ

  • 申込書類の正確な記入
  • 本人確認手続きの実施(オンライン、郵送、対面など)
  • 銀行からの質問や追加書類の要求に迅速に対応

維持管理フェーズ

  • 定期的な口座利用(入出金、残高照会など)で休眠口座化を防ぐ
  • 登録情報(住所、連絡先など)の変更時は速やかに銀行へ届け出る
  • 口座維持手数料が発生する場合は、残高不足に注意する
  • 銀行からの重要なお知らせを見逃さない

税務コンプライアンス

  • CRSに基づく情報交換を理解する
  • 海外口座で得た所得(利子、配当など)の確定申告を適切に行う
  • 国外財産調書の提出義務を確認する (該当する場合)

拡張・見直しフェーズ

  • ライフプランやビジネスの変化に合わせて、口座の利用方法や必要性を見直す
  • より有利な条件のサービスがあれば乗り換えを検討する
  • 法人化などステージが変わる場合は、法人名義口座の検討と専門家相談

迷ったらプロに相談!

海外口座開設や国際税務に関するルールは非常に複雑で、頻繁に変更されることもあります。特に、ご自身の状況が特殊であったり、どの選択肢が最適か判断に迷ったりする場合には、無理に自己判断せず、専門家のアドバイスを求めることを強く推奨します。国際的な金融取引に詳しいファイナンシャルアドバイザー、海外口座開設サポートの実績が豊富なコンサルタント、あるいは国際税務に精通した税理士や弁護士など、相談すべき専門家は目的や課題に応じて異なります。初期費用はかかるかもしれませんが、長期的に見れば、誤った手続きによるトラブルや法的なリスクを回避し、結果として時間とコストの節約に繋がることも少なくありません。正しい情報を基に、賢明な判断を下し、グローバルな活動を円滑に進めるための一歩を踏み出しましょう。

  • 税理士(国際税務に詳しい方):海外所得の確定申告、租税条約、国外財産調書など、税務全般に関するアドバイス。
  • 銀行の担当者:具体的な口座開設手続き、必要書類、手数料など、銀行ごとの詳細情報。
  • 海外口座開設サポートの専門業者:手続きの代行や、特定の国・銀行に関するノウハウの提供(ただし、信頼性や費用は慎重に吟味が必要)。
  • ファイナンシャルプランナー(海外案件に強い方):資産全体のポートフォリオにおける海外口座の位置づけや活用方法のアドバイス。
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「海外銀行口座開設」のプロフェッショナル

合同会社PPS吉岩勇紀代表
合同会社PPS
吉岩勇紀代表

2007年創業、これまで2,500人以上の海外銀行の口座開設をサポート。独自の人脈と豊富な知識で海外銀行とのコネクションを築く。現在はプライベートバンク(モナコ)・アクレダ銀行(カンボジア)の口座開設をサポートしている。

※2025年1月30日調査時点